エビデンスに基づく健康情報4~感情が健康行動に与える影響
- 賢一 内田
- 5 時間前
- 読了時間: 4分

― 怒り・悲しみ・「注意が必要なポジティブ感情」 ―
「健康にいいと分かっているのに、続かない」この現象は意思が弱いからではなく、感情が意思決定を上書きしてしまうことで起きることが少なくありません。
感情は、身体に直接影響するだけでなく、日々の選択(食事・睡眠・運動・受診行動など)を通じて、間接的に健康を左右します。感情についての理解が深まった今、次回はいよいよ「良い感情の作り方」へ進みます。
健康に注意すべき感情は3つある
今回のポイントは次の3つです。
怒り
悲しみ
注意が必要なポジティブ感情(誇り・幸せ・恥と罪悪感 など)
「ネガティブ=悪」「ポジティブ=良い」と単純に分けるのではなく、感情ごとの特徴を理解し、自分の行動とのつながりを見抜くことが重要です。
怒り:健康を壊す“強力な感情”
怒りは、健康に悪影響を与えうる感情の代表です。
1)直接的な影響
怒りは血圧上昇など、身体反応を引き起こします。
2)間接的な影響(より重要)
怒りの本当の怖さは、体の反応だけではありません。怒っているとき、人は
人を信頼しにくくなる
リスクを軽く見積もる(過小評価する)
衝動的な行動を取りやすくなる
といった状態になりやすく、結果として健康的な習慣(睡眠・食事・運動・服薬・受診など)が崩れやすくなります。
ことわざにも、
「短気は損気」
「怒りは敵と思え」
とあるように、怒りは「判断の精度」を落としやすい感情です。怒りそのものを否定するより、怒っているときほど判断が歪むことを知っておくことが、健康行動の土台になります。
悲しみ:喪失感が“目先のご褒美”を呼びやすい
悲しみは「取り返しのつかない何かを失った」という喪失感から生じやすい感情です。この喪失感が続くと、人はその穴を埋めるために、
甘いもの
ジャンクフード
その場のご褒美的な行動
といった刹那的な快楽に引き寄せられる傾向があるとされます。
講義の中では、次の表現が印象的でした。
「心の隙を埋める」― ロスを埋めようとして誘惑に駆られたり、甘いご褒美が欲しくなる
さらに悲しみは、**現在思考バイアス(遠い利益より目先の満足を優先する)**と相性が良く、「今日くらいはいいや」と自分を甘やかし、結果として健康リスクのある行動につながりやすくなります。
注意が必要なポジティブ感情もある
ポジティブ感情は基本的に心身に良い影響が多い一方で、状況によっては“落とし穴”になることもあります。
誇り:自信過剰→自分を甘やかす場合がある
目標達成後に「もう大丈夫」と感じすぎると、生活が緩みやすいタイプの方もいます。
幸せ:リスクを過小評価しやすい場合がある
幸せなときほど気が大きくなり、「少しくらい大丈夫」と判断してしまうことがあります。
大切なのは、感情を良い悪いで裁くのではなく、**“その感情の時に自分はどう行動しやすいか”**を知ることです。
恥と罪悪感:似ているようで作用が違う
講義では「恥」と「罪悪感」の違いも整理されました。
恥:自分中心になりやすく、他者の助言を受け入れにくい
罪悪感:他者を意識しやすく、改善に向かいやすい(意見を取り入れやすい)
どちらもつらい感情ですが、働きは同じではありません。
鍵は「メタ認知」:感情と行動のパターンを見抜く
健康行動を整えるための鍵は、自分がどの感情のときに、どんな行動をとりやすいかを把握することです。
怒っているとき → 強気・衝動・リスク軽視になりやすい
悲しいとき → 目先のご褒美に引っ張られやすい
幸せなとき → 楽観的になりやすい
このパターンが分かると、不健康な行動を「意志の弱さ」ではなく、感情の影響としてコントロールしやすくなります。
次回予告:良い感情の作り方へ
今回で、健康行動を揺らしやすい感情の特徴が整理できました。次回はいよいよ、**「良い感情の作り方」**を具体的に解説する予定です。
タグ
さくら在宅クリニックについて
さくら在宅クリニックでは、在宅医療・訪問診療を通じて、病気の治療だけでなく「生活の中で続けられる健康づくり」も大切にしています。セルフケアや健康習慣に役立つ情報も発信しています。
▶ 公式サイト:https://www.shounan-zaitaku.com/




コメント