【喘息とCOPDが両方ある?】「ACO」という病態をご存じですか?
- 賢一 内田
- 7月10日
- 読了時間: 2分

「咳が長引く」「季節の変わり目に息苦しくなる」「昔はぜんそくと言われたけど、最近はCOPDと言われて…」そんな方が対象となる可能性があるのが 「ACO」 です。
◆ ACOとは?
ACO(Asthma-COPD Overlap)とは、「ぜんそく」と「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」の両方の特徴を持つ病態です。
もともと別々と考えられてきた疾患ですが、中年以降になると両者の境界が曖昧になってくることがあります。そんな患者さんを適切に治療していくために「ACO」という概念が生まれました。
◆ ACOと診断される人の特徴とは?
■ 基本条件
40歳以上
気管支拡張薬吸入後の1秒率(FEV1%)が70%以下
この条件でCOPDに該当します。そのうえで「ぜんそくらしさ」が残っている場合に「ACO」と診断されます。
◆ COPD的な要素(どれか1つ以上)
喫煙歴(例:1日20本 × 10年以上=200) または同程度の受動喫煙歴
胸部CTで気腫性変化を認める
肺拡散能障害がある (これは専門的検査が必要なので、一般の方や非専門医にはわかりづらい指標です)
◆ ぜんそく的な要素(以下のいずれかを満たす)
【大項目】3つのうち2つ以上、または大項目1つ+小項目2つ以上
大項目
変動性・発作性の呼吸症状(咳、痰、息切れなど)
40歳以前のぜんそくの既往
呼気中の一酸化窒素(FeNO)が35ppb以上
小項目
通年性アレルギー性鼻炎
気道可逆性あり(吸入後に肺機能が改善)
末梢血好酸球比率>5% または 絶対数>300/μL
IgE高値(アレルギー体質を示す)
◆ ACOの治療は?
ぜんそくの基本薬 → 吸入ステロイド(ICS)
COPDの基本薬 → 長時間作用型抗コリン薬(LAMA)
ACOでは両方の病態があるため、治療も吸入ステロイド+LAMA+LABAといった組み合わせが選択されることが多いです。
実際の臨床でも、私自身が多くの患者さんにこの3剤併用を行っています。
◆ 予防のカギは「禁煙」
若いころにぜんそくの治療を受けていた方でも、早めに禁煙していればACOに進展しなかった可能性もあります。呼吸器疾患は、治療も大切ですが「日常生活での予防」が非常に重要です。
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