JAMAに在宅診療(外来)での尿路感染症の診断と管理に関するレビューが掲載されています。 いわゆる膀胱炎を含む尿路感染症に遭遇する機会は、すべての外来診療を行う医師にとって、きわめて多いものと思われます。 非常に重要な知見が含まれていると思い、まとめてみました。 <アブストラクト> 【重要性】 ・尿路感染症 (UTI)は、外来で抗菌薬を使う理由の最たるものの一つであるが、耐性菌の出現が増加し、診断と治療に影響を及ぼしている。 【目的】 ・若年女性、糖尿病の女性、男性の急性膀胱炎の適切治療および、急性膀胱炎の適切な診断法について述べる 【エビデンスレビュー】 ・PubMedとCochraneデータベース 【所見】 ・27RCT (6463患者)、6システマティックレビュー、11観察研究(252934患者) ・女性の急性非複雑性(単純性)膀胱炎は、診療所受診なし、尿培養なしで可能 ・ST合剤(160/800mg1日2回3日間)、ニトロフラントインnitrofurantoin monohydrate/macrocrystals (100mg1日2回、5−7日間)、ホスホマイシン•トロメタモール (1回3g)はすべて、単純性膀胱炎の第一選択 ・フルオロキノロンの臨床アウトカムは効果ありだが、より広範な感染時に使用する ・βラクタム(アモキシシリンークラブラン酸、セフポドキシムプロキセチル)は第一選択としては不適当 ・速やかな抗菌薬使用は遅い治療やイブプロフェンのみの治療よりも推奨される ・男性の急性膀胱炎での7〜14日間の治療を支持する観察研究は限定的 ・観察研究1つと、われわれの意見を元にすれば、糖尿病合併女性の急性膀胱炎は、糖尿病なしの女性と同様に治療されるべき 【結論】女性の急性期単純膀胱炎の抗菌薬治療としては、ST合剤、ニトロフラントイン、ホスホマイシン・トロメタモールが適応である。尿病理に基づく耐性率の増加が治療をより複雑にする。薬剤耐性への危険因子と治療忍容性を個々に評価することが、適切な経験的治療の選択に必要である。
<診断> ・尿培養は急性期の診断治療にはあまり活用されない ・少なくとも2つの症状(排尿障害、切迫失禁または頻尿)があり、膣分泌が欠如していれば急性膀胱炎の診断確率は90%以上 ・検尿による白血球検出は、事前確率が高い場合尤度比はそれほど大きくない。 ・あるRCTは検尿と尿培養による管理が、経験的治療にくらべ、症状スコアや紹介までの時間改善に寄与しないことが報告されている
・在宅診療での急性膀胱炎における尿培養なしの管理は容認される ・6ヶ月以内の再発、合併感染、多剤抵抗性の場合は尿培養をすべき ・高頻度で高再発率の場合、効率的な診断と治療アプローチが好まれる ・尿培養なしの他のアプローチとして、電話による管理や患者先行の治療が考えられる
在宅診療では、膀胱炎症状の方を診たら、キノロン系か第3世代セフェムが投与されるケースが多いような気がします。
尿培養、検尿は不要、電話アプローチ、キノロンははじめから用いないーこれらは寝耳に水の医師もおられるかもしれません(特に我々より上の世代の医師?)。
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逗子在住山内明徳様撮影
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