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逗子、葉山、鎌倉、横須賀、横浜市金沢区の在宅医療

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在宅医療における認知症について59~認知症の基本的対応③
〜外出の機会が乏しいときはデイサービスを活用する〜 認知症の進行を遅らせるために最も効果的なのは、**「家に閉じこもらないこと」**です。特に仕事や社会活動が少なくなっている方は、**デイサービス(通所介護)**の利用を積極的に検討しましょう。 1. デイサービスは「治療の一環」 英国の医療ガイドライン(NICE:National Institute for Health and Care Excellence)では、軽度〜中等度の認知症の方に対して、 「構造化された集団認知刺激療法(Cognitive Stimulation Therapy)」への参加 を推奨しています。 これは、日本でいう「デイサービス」で実践されている内容に近く、 “社会的交流を通じて脳を刺激する”非薬物療法 として科学的に裏づけられています。 2. デイサービスの効果 🔹 抗認知症薬との比較 国内の臨床試験(ガランタミン・メマンチンなど)の解析では、 介護サービスを利用している集団のほうが、利用していない集団よりも症状改善の割合が高い という結果が得られています。...
11月7日読了時間: 4分


在宅医療における認知症について58~認知症の基本的対応②
〜火の不始末への早期対応と社会的活動の継続〜 認知症が進行すると、本人だけでなく家族・近隣の安全にも関わるリスクが生じます。その代表が「 火の不始末 」です。一方で、認知症の人が長年続けてきた 仕事や社会的活動を早く手放すこと は、心身の衰えを早める要因にもなります。ここでは、 安全確保と活動維持を両立させる実践的なポイント を紹介します。 1. 火の不始末 ― 「一度焦がしたらもう危険信号」 🔥 なぜ早めの対応が必要か 火の不始末は、本人だけでなく 周囲を巻き込む重大事故 につながります。特に 独居高齢者 の場合、近隣トラブルや施設入所を迫られる理由になることも少なくありません。そのため、 早期から安全対策を取ることが鉄則 です。 👀 チェックすべきポイント まずは日常の中で、次のようなサインがないか確認しましょう。 鍋ややかんが焦げていないか 仏壇のろうそくが安全に使われているか 畳やこたつに タバコの焼け跡 がないか 壁や天井に 煙跡・スス汚れ がないか こうした「小さな異変」が、火災リスクの初期サインになります。 🧯 現実的な安全対
11月6日読了時間: 4分


在宅医療における認知症について56~抗精神病薬 ― 用法・用量と中止のタイミング
〜「できるだけ少なく・できるだけ短く」が原則〜 抗精神病薬は、認知症のBPSD(行動・心理症状)に対して確実な効果がある一方、死亡率を含む重大な副作用リスクがある薬です。そのため、「 できるだけ少ない量を、できるだけ短期間だけ使う 」ことが大原則です。 1. 用法・用量 ― 少量・短期使用を徹底する 抗精神病薬を処方する際は、 最小限の用量から始め、必要があれば段階的に調整 します。 🔹 リスペリドン(欧州での認可基準・日本では未承認) 欧州では、アルツハイマー型認知症に伴う持続的な攻撃性に対してのみ、短期間の使用が認められています。 開始:0.25mgを1日2回 必要に応じて2日に1回の頻度で0.25mgずつ増量 通常至適用量:0.5mg 1日2回 最大でも:1mg 1日2回 使用期間は6週間以内に限定 日本ではBPSDに対して正式に承認されていません。このため、「リスペリドンを推奨する」という意味ではなく、あくまで**“短期・少量”の目安として参考にする**という位置づけです。 なお、 クエチアピンとオランザピン は日本国内において 糖尿病
11月4日読了時間: 4分


在宅医療における認知症について55~抗精神病薬 ― 効果と危険性をどう見極めるか
〜BPSD(認知症の行動・心理症状)への最終手段〜 BPSD(認知症に伴う興奮・幻覚・妄想など)は、時に介護者の努力だけでは対応しきれないことがあります。そのようなとき、医師が最後の手段として検討するのが 抗精神病薬 です。 しかしこの薬は、確かに「効く」一方で、 命に関わる副作用のリスクもある 。ここでは、その効果と危険性、そして「使うべきかどうか」を考える視点を解説します。 1. 効果とリスクのバランス 非定型抗精神病薬(リスペリドン、オランザピン、クエチアピンなど)は、BPSDのうち特に 興奮・暴言・幻覚・妄想 に対して効果があることが、複数の臨床試験で確認されています。 一方で、そのレビュー(系統的解析)では次のような 有害事象の増加 が報告されています: 眠気・過鎮静 錐体外路症状(手足の震え、筋硬直など) 脳血管障害(脳梗塞など) 尿路感染症、浮腫、歩行障害 死亡リスクの上昇 つまり、「効くけれど危険性も高い」。抑肝散やトラゾドンよりも確実に症状を抑える効果がありますが、その代償として 副作用のリスクが格段に高い のです。 2. FD
11月3日読了時間: 4分


在宅医療における認知症について54~トラゾドン ― 認知症の不眠に対して「唯一の科学的根拠がある薬」
〜ベンゾ系は使ってはいけない、トラゾドンが第一選択〜 同居家族を睡眠不足に追い込むほど厄介なのが、**認知症の人の夜間不眠(睡眠障害)**です。夜中に何度も起きて歩き回る、叫ぶ、昼夜逆転する——こうしたBPSDは、介護者の消耗を大きくし、施設入所や入院を余儀なくされる大きな要因になります。 ベンゾジアゼピン系睡眠薬は使ってはいけない 従来、睡眠障害に対して多く使われてきたのが ベンゾジアゼピン受容体作動薬(BZD系) 。しかし、最新の系統的レビューでは、BZD系の睡眠薬に関して 認知症患者を対象としたプラセボ対照二重盲検試験が1件も存在しない ことが報告されています。 しかも、BZD系薬剤には以下の副作用リスクが 科学的に確立 しています: 認知機能の低下 せん妄の誘発 転倒・骨折のリスク増加 したがって、 認知症の人の睡眠障害にBZD系を使うべきではありません 。 トラゾドンだけがプラセボを上回った 同レビューによると、これまで臨床試験が行われたのは メラトニン、ラメルテオン、トラゾドン の3剤のみ。 メラトニン → 無効 ラメルテオン → 無
11月2日読了時間: 4分


在宅医療における認知症について53~抑肝散・トラゾドン・抗精神病薬の使い分け
〜BPSDに対する薬物療法の位置づけ〜 前回家族・介護環境の調整」では、まず非薬物的介入(介護者の関わり方や環境調整) を重視すべきことをお伝えしました。それでもなお、興奮や暴言・幻覚などの BPSD(行動・心理症状)**が強く、生活に支障を来す場合に初めて薬物療法を検討します。 抑肝散 ― 易怒・興奮・幻覚への漢方的アプローチ 1. どんなときに使う? 抑肝散は、認知症に伴う 怒りっぽさ・興奮・暴言・暴力 などの症状に効果があるとされる漢方薬です。 2. 効果のエビデンス 複数の無作為化比較試験(RCT)の系統的レビューでは、プラセボ(偽薬)に比べてBPSDの改善がみられたとの報告があります。特に、 妄想・幻覚・焦燥・攻撃性 に対して有効とされました。一方で、**認知機能(MMSEスコア)**の改善効果は認められませんでした。 唯一の二重盲検試験(信頼性が高い試験)では、アルツハイマー型認知症に対して 抑肝散とプラセボの間に有意差は認められません でした。安全性は良好でしたが、科学的には「効くとも言えない」という結論です。 3. 使用時の注意点
11月1日読了時間: 4分


在宅医療における認知症について52~【認知症ケアの基本】―家庭で“失敗体験”をさせない、そして“役割”を持ってもらう―
認知症の人が家庭で安心して暮らし続けるためには、 本人の尊厳を守る環境づくり が何より大切です。そのために、家庭内で守るべき2つの原則があります。 ① 本人に「失敗体験」をさせない できないことを無理にさせたり、難しい課題を与え続けたりすると、本人の 自信と意欲を失わせる 結果になります。 料理の段取りがうまくできないのに手順を一人で任せる 複雑な計算ドリルを延々とやらせる 同じ質問に叱責で返す これらはすべて、本人の「できなかった」という体験を積み重ねることになり、不安・焦燥・抑うつを悪化させる BPSDの引き金 になりかねません。 家族にはこう伝えましょう。 「失敗すればするほど、不安が強くなります。」「難しい課題を無理にさせても、認知機能の改善にはつながりません。」 本人が“できる範囲で達成感を得られる活動”を選び、 小さな成功体験を積み重ねる ことが大切です。 ② 本人にできる家事をしてもらう 何もしない時間が長くなると、心身機能が低下していく「廃用症候群」を招きます。頼まれごとがなく、ただ一日中ぼんやり過ごすだけでも、BPSD(不安・焦
10月24日読了時間: 3分


在宅医療における認知症について51~【認知症ケアの基本】
―外出機会が乏しい人にはデイサービスを― 認知症の人にとって、外出や社会的交流の機会は「脳の活性化」と「生活リズムの維持」に直結します。仕事や地域活動がなく、家に閉じこもりがちな場合は、 デイサービスの利用 が最も効果的な非薬物療法です。 ■ デイサービスは“非薬物療法”の中心 英国の NICE(国立医療技術評価機構)認知症ガイドライン では、軽度〜中等度の認知症に対して、 「構造化された集団認知刺激療法(Cognitive Stimulation Therapy:CST)への参加機会を与えるべき」と明記されています。 日本の介護保険制度でいう デイサービス は、まさにこのCSTに相当する取り組みです。 ■ 科学的根拠が示す“デイサービスの効果” 日本で行われた認知症治療薬の臨床試験解析(GAL-JPNシリーズ・メマンチン国内第Ⅲ相試験)では、薬を使っていない プラセボ群の中でも、介護サービスを利用していた人のほうが 、 全般的臨床評価(CIBIC-plus) 認知機能スコア(SIB)でより良い結果を示しました。 つまり、 介護サービス(デイサー
10月23日読了時間: 3分


在宅医療における認知症について50~【認知症ケアの基本的対応】―最初に確認すべき5つの優先順位―
認知症が疑われたとき、すぐに薬や介護サービスを考える前に、まず行うべきことがあります。それは「 診断の確定と除外 」です。 まずは、内科的・脳外科的疾患による可逆的な認知機能低下(例:甲状腺機能低下、慢性硬膜下血腫、感染症など)を除外し、次に「薬剤による認知機能低下」がないか確認し、必要なら 減薬 を行います。 これらを終えたうえで「認知症性疾患である」と判断された場合、次の5つの対応方針を念頭におきましょう。 🧩 認知症対応の5つの優先順位 危険動作はやめてもらう 仕事や社会的活動はできるだけ続けてもらう 外出機会が少ない人にはデイサービスを利用してもらう 家庭では“失敗体験”をさせない 家庭内でできる家事は本人にやってもらう この順番を意識するだけで、日常対応の迷いがぐっと減ります。以下、それぞれのポイントを具体的に見ていきます。 ① 危険動作はやめてもらう ― 安全がすべての出発点 認知症ケアの第一歩は「 安全の確保 」です。本人や家族の希望よりもまず優先すべきは、“事故を防ぐこと”。このステップを乗り越えれば、早すぎる入所を防ぐことにも
10月22日読了時間: 4分
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