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認知症について家族へ向けて13~聞けない・集中できない・ すぐ疲れてしまう「カクテルパーティー効果」

  • 15 分前
  • 読了時間: 8分


聞けない・集中できない・すぐ疲れてしまうその理由

「カクテルパーティー効果」が機能しなくなったら何が起きるか?注意機能の障害が日常生活に与える影響を、当事者の声と解説で読み解く。

#注意機能障害#感覚過敏#心身機能障害#認知機能#日常生活の困りごと

「カクテルパーティー効果」とは、騒がしい環境でも自分に必要な声だけを選択して聞き取る脳の働きのことです。


しかし、この機能が損なわれると——まったく不要な声までなんでも耳に入り、本当に聞きたいことが聞こえなくなってしまいます。


本記事では、注意機能・感覚処理・疲労に関わる心身機能障害36〜40の内容を解説します。

他人のヒソヒソ話を遮ることができない

人には自分が必要な情報に特別な注意を向けて集中する能力が備わっています。 しかし、その機能が損なわれたことで、まったく不要の声までなんでもすべて耳に入ってきてしまうとしたら……。


患者さんの声

町内会での出来事。会長がマイクを使って話している最中、隣の人たちがヒソヒソと関係のない話をはじめました。 声のボリュームは明らかにマイクの方が大きいのですが、わたしには隣の人たちの話がやたらと耳に入ってきて、目の前の会長の大きなマイクの声を聞きとることができなくなってしまったのです。 ヒソヒソ話の内容は、特に気になるような話題ではなかったのに。

なんとか話を聞き取ろうとメモを取りながら話を聞こうとしたのですが、話を聞こうとするとメモの手が止まり、メモを取ろうとすると話についていけなくなり、どにもうまくいきません。 それはまるで、制御不能な暴走車を運転しているかのよう——自分の耳があちこちへと持っていかれてしまう感覚なのです。

自分は聞こうとしていないのに、強制的に聞きたくないものを全力で聞いてしまうので、終わる頃にはもうヘトヘトでした。 また、喫茶店では蛍光灯の光が目に突き刺さるかのように飛び込んできて、店の外の救急車のサイレンに耳が持っていかれてしまいました。

人の話を集中して聞けなくなる理由

わたしたちの脳は、五感から入ってくる大量の情報の中から、注意するもの・注意しないものを選択・切替しています。この操作のことを「注意」と呼びます。

コーヒーを飲んでいるとき、舌からは味が、鼻からは匂いが、指はカップの温度を感じ、耳にはスプーンの音……と多くのことを感じとっています。しかし「今、お尻の右下あたりがちょうど椅子の角に当たっている」と感じながら飲むことはあまりありません。


コーヒーの味に注意を向けながら、ほかのものへの注意を無意識に抑制している。


人の話が聞けなくなる理由の1つは、こうした注意の選択・切替・持続・抑制が難しいためです。

2つ目の理由は注意の分配が難しいこと。カフェで友人と話し込んでいる最中でも、喉の渇きを感じたら合間にドリンクを飲んだり、店員さんが近づいてきたことを感じて呼び止めたりしますよね。これが注意の分配です。 こうした注意の分配がうまくいかなければ、人の話に集中できたとしても、ほかのことがまったくできなくなることがあります。

👂


心身機能障害 36

聞くべき音・見るべきモノに


集中できない

CHECKこの障害が原因と考えられる生活の困りごと


 

駅のアナウンスが聞こえない

行き先のアナウンスが聞きたいのに、業務連絡や注意などほかのアナウンスが耳に入ってきて、聞きたいことが聞けない。反対側のホームのアナウンスとごちゃごちゃになり混乱することも。

 

予約の日付を間違える

ネットでチケットを予約するとき、画面で予約カレンダーを見て何度も確認したはずなのに一日ずれて予約してしまう。間違いに気がつかずキャンセル料を払うことになる。

 

周囲の音が気になり、話が聞けない

子どもたちの笑い声やゲーム、テレビの音などが一斉に耳に入り、相手の話す声がまったく耳に入ってこない。飲食店でも、BGMや隣の席の会話が極端にうさく感じる。

 

運転中、信号・標識などに気がつかない

運転中、赤信号が目に入らずぶつかりそうに。以前は交差点では無意識に信号を認識できていたのに、今は常に意識して全方位に注意を向けなければ気づくことができない。

 

書類を作っていても、ほかのことが気になりミスしてしまう

文章を書く、数値を入力するなどの作業をしているときに、着信音に耳が持っていかれたり、前を通った人に目が持っていかれたりして、集中できずミスしてしまう。

↔️


心身機能障害 37

複数のことを


同時に実行できない

CHECKこの障害が原因と考えられる生活の困りごと

 



レジで複数のことを言われると混乱する

会計時「袋はご入用ですか?」と聞かれたり、クーポン券を渡されたりすると、何をすればいいかわからなくなる。後ろに人が待っていたり、店内で宣伝や音楽が流れていたりするとさらに混乱する。

 

複数人の会話についていけない

複数人で話すとき、だれが何を話したのかを理解することが難しく、話の流れについていけない。そのため会議の議事録が書けない。また、長い話を集中して聞くのは疲れてしまう。

 

話を聞きながらメモするのが難しい

人の話を聞きながら理解し、頭で文章をまとめ、紙に書くことができない。話を聞こうとすると手が止まり、メモしようとすると耳に話がまったく入ってこなくなる。

 

出先で忘れ物をする・家の中でものがなくなる

移動中切符をなくしたり、外出先でカバンやコートを置き忘れたりする。スーパーでは乗っていった自転車や袋詰めした商品を置いてきたりする。家ではリモコンや携帯をどこに置いたかわからなくなる。

 

横断歩道を渡るのが難しい・青信号のうちに渡りきれない

信号が青になっても、すぐに足を動かせず出遅れてしまう。後ろの人の邪魔にならないように速く歩き、前からの対向者を避けながら歩くのが難しい。信号がいつ赤になるかと焦る。

 

スマホをゴミ箱に捨ててしまう

両手に物を持っていると、捨てる物と捨てない物が混同する。右手に持っていた空きボトルを捨てるつもりが、気づいたら左手に持っていたスマホをゴミ箱に入れていた。

😓


心身機能障害 38

頭と身体が


短時間で疲れやすい

CHECKこの障害が原因と考えられる生活の困りごと

 


ちょっとした作業で頭がいっぱいになる

午前の仕事が終わると、頭と身体がとても疲れて動けなくなる。自分の作業に集中するためにとても頭を使っている感じがして、一度寝たりして身体を休めないと、何も考えられず体調が悪くなる。

 

少し本を読んだだけで疲れてしまう

読書をしようとしても、数ページ読んだだけで疲れてしまう。1つひとつの文字をじっくり見て、順に行を追い、内容を理解しようと集中しすぎているようで、頭がひどく疲れる感じがする。

 

歌のリズムがとれない・伴奏に合わせられない

リズムに合わせて歌えずズレてしまう。伴奏をよく聴こうと注意すると、自分の口を動かすことを忘れてしまい、出遅れる。

 

アクセルとブレーキを踏み間違える

ブレーキを踏むつもりが、足を置いていたアクセルをそのまま踏んでしまいぶつかりそうになる。バック駐車時は、ハンドル操作に集中するあまり足に注意が向かず、間違いやすい。

 

傘をさしたまま移動するのが難しい

自分の上に傘をさしながら、対向者を避け、その人の傘とぶつからないように自分の傘を動かし、距離を保ちながら歩くのは、気をつけることがたくさんあって難しい。

 

周囲に注意を払って歩くのが難しい

歩行者や突然現れる自転車、歩道がなければ車との距離にも気をつけなければならず、とても疲れる。犬の散歩をするときは、犬の動きやフンの始末など気をつけることが多くて大変。

👁️


心身機能障害 39

視覚・聴覚・嗅覚が


敏感になる

CHECKこの障害が原因と考えられる生活の困りごと

 


明るい照明が、目に刺さるように感じる

光が集中して当たるスポットライトや照度の高い照明・強い直射日光は、極端に眩しく感じる。時には、光が目に刺さるような痛みを感じて、目を開けられなくなってしまうことも。

 

館内放送が耳障りで疲れてしまう

買い物中、呼び込みやBGMが絶えず流れていて、とても疲れてしまう。聞こうとしていないのに周りの音がすべて耳に入ってきてしまい、意識して聞かないようにすることができない。

 

電車内の人の匂いに敏感になる

人との距離が近くなる電車の中で、汗や香水の匂い、洗剤や柔軟剤の匂いがとてもきつく感じる。ひどいときは匂いに耐えきれず、体調が悪くなり途中下車することも。

💭


心身機能障害 40

特定のモノ・コトに目・耳・思考が固執し、



他に注意を向けられない

CHECKこの障害が原因と考えられる生活の困りごと

 

特定の音が耳から離れない

会話中、外から聞こえた救急車のサイレンの音に耳が持っていかれてしまう。救急車が通り過ぎた後もずっとサイレンの音が気になって、話がまったく耳に入ってこない。

 

口元の動きを見てしまい、話が聞けない

相手の話をしっかり聞こうと思い、じっと口元を見て話を聞いていると、いつの間にか口の縦横の動きに集中してしまい、話し声や内容が耳に入ってこなくなってしまう。


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