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経皮吸収型NSAIDs「ジクトルテープ」とは?在宅医療での活用ポイント

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 6月10日
  • 読了時間: 3分

ジクトルテープ75mgは、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)であるジクロフェナクナトリウム(ボルタレン®︎)を有効成分とする経皮吸収型の貼付薬です。

❖ ロコアテープとの違いは?

一般的にNSAIDsの貼付薬としては「ロコアテープ」がよく知られていますが、両者には明確な違いがあります。

  • ロコアテープ:局所作用型。湿布のように「痛い場所」に貼るタイプ。

  • ジクトルテープ:全身作用型。貼った部位から有効成分が血中に吸収されて全身に効果を発揮します。

❖ 適応疾患と処方可能な場面

もともとはがん性疼痛のために開発され、2021年5月に発売されましたが、2022年6月に以下の整形外科的疾患にも適応が拡大されました。

  • 腰痛症

  • 肩関節周囲炎

  • 頚肩腕症候群

  • 腱鞘炎

これにより、がんに限らず、非がんの慢性疼痛患者さんにも処方が可能になっています。

❖ 用量の目安

  • がん性疼痛:1日1回 2枚から開始(最大3枚まで)

  • 腰痛などの整形疾患:1日1回 1枚または2枚

なお、ジクトルテープ3枚(225mg)は、ボルタレン錠4錠(100mg)に相当すると言われています。

在宅医療における“ジクトルテープ”の有用性

在宅医療では、「飲み薬が難しい」「内服困難な状態」という状況がしばしばあります。そうしたケースで、ジクトルテープは非常に役立つ選択肢です。

特に有効なのは次のような方です:

  • がん性疼痛のある終末期患者

  • 骨転移のあるがん患者

  • 腫瘍熱による痛みが強い患者

ジクトルテープを併用することで、オピオイドの増量を抑え、せん妄・嘔気・便秘などの副作用リスクを軽減できる可能性があります。

❖ ジクトルテープのメリットとデメリット

✔ メリット

  • 胃粘膜障害のリスクが少ない → COX-2選択性が高く、血中濃度が緩やかに推移

  • 持続効果が安定している → 「切れ目なく」効果が続くため、痛みのコントロールがしやすい

  • 内服が難しい方でも使用可能

✘ デメリット

  • 即効性がない → 急性痛には不向き

  • 皮膚刺激・かぶれのリスク(頻度は少なめ)

  • 薬価が高め(1枚あたり約155.8円)

  • 誤用リスクあり(痛い所に貼られてしまう/枚数が過剰になる等)

まとめ:適切に使えば、非常に頼もしい薬剤

在宅医療においては、**「内服が難しいけれど、NSAIDsの効果が必要」**という状況がよくあります。ジクトルテープは、そうしたケースで大きな力を発揮します。

もちろん、すべての痛みに万能なわけではありませんが、がん性疼痛や慢性疼痛の緩和において、内服困難な高齢者・終末期患者における強力な選択肢のひとつです。

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