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看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する18~褥瘡(じょくそう)の内部評価におけるエコーの役割

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 8月17日
  • 読了時間: 2分

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褥瘡の観察は、これまで視診や触診が中心でした。しかし、表面からでは深部の状態を正確に把握できないことも多くあります。エコー(超音波検査)を用いることで、以下のような内部構造を可視化でき、褥瘡評価の精度が高まります。

  • 深部組織損傷(DTI)

  • 皮下ポケット

  • 壊死による深さ不明の褥瘡

  • 発赤や水疱の内部評価

これらを画像として捉えることで、診断やケア方針の判断に大きく役立ちます。

エコーでできる褥瘡評価のポイント

エコーを用いた褥瘡評価では、体表から骨に至るまでの層構造を理解しておくことが重要です。

  1. 表皮・真皮層

  2. 皮下脂肪層

    • 内部に網目状の浅筋膜を確認できる

  3. 深筋膜

    • 脂肪層と筋肉の境界に強い線状高エコーとして描出

  4. 筋肉層

    • 均一な低エコー、筋線維が縞模様に観察される

(図1参照)

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通常の画像では表皮と真皮を明瞭に区別することは難しいですが、皮下脂肪層の厚みや内部構造を観察することで異常を捉えることが可能です。

褥瘡評価で注目すべきエコー所見

  • 層構造の乱れ → 浮腫・肉芽・壊死組織の有無を推定

  • 低エコー域 → 悪化リスクを示唆

  • 内部構造の不均一 → 深部組織損傷の可能性

  • 経時的観察 → ケアや治療の効果判定

  • 血流の有無 → デブリードマンや保存的治療の選択に活用

部位別のランドマーク

褥瘡が好発する部位では、それぞれ特徴的なランドマークがあり、エコー観察の指標となります。

  • 仙骨部 → 棘突起

  • 大転子部 → 大腿骨大転子

  • 踵部 → 踵骨

(図2参照)

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ただし、体型(皮下脂肪の厚み)、観察部位、使用するプローブの周波数によって画質は異なるため、正常画像を理解しておくことが必須です。

まとめ

エコーを用いた褥瘡評価は、目に見えない内部の情報を補うことで、より正確な病態把握とケア方針の判断につながります。特に深部組織損傷や壊死の有無を評価できる点は、従来の視診・触診にはない大きな利点です。

褥瘡ケアの質を高めるためには、正常な皮下組織エコー像の理解と、部位ごとの特徴的ランドマークの活用が欠かせません。さくら在宅チャンネル(YouTube)

 
 
 

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