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在宅医療における認知症について25~ガランタミン・リバスチグミン・メマンチンの国内治験データから見えること

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 8月29日
  • 読了時間: 2分

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抗認知症薬は「効果があるかどうか」を国内外の臨床試験で検証して承認されました。ここでは日本で行われた治験データをもとに、ガランタミン・リバスチグミン・メマンチンの実際をまとめます。

ガランタミンの治験結果

  • 国内で2回大規模試験(GAL-JPN-3、GAL-JPN-5)が行われました。

  • 認知機能(ADAS-cog)と全般的臨床症状(CIBIC-plus)の 両方で有効性を示さなければ承認できない というルールがあります。

結果

  • GAL-JPN-3:

    • 認知機能 → 24mg群で有意差あり

    • 臨床症状 → 16mg群で有意差あり

    • つまり両方で同時に有意差が出ず「失敗」

  • GAL-JPN-5:

    • 認知機能 → 16mg群・24mg群とも有意差あり

    • 臨床症状 → いずれも有意差なし

    • またしても「失敗」

PMDA(医薬品医療機器総合機構)の判断

  • 「日本人での有効性が明確に示されたとは言えない」

  • しかし、選択肢が限られている状況や海外での有効性を踏まえ、承認 された

改善率(図1)

  • プラセボ:56.0%

  • ガランタミン16mg:58.1%

  • ガランタミン24mg:57.3%

👉 プラセボとの差はごくわずか。「何も飲まないよりは多少マシ」とも、「大差ない」とも解釈できるデータです。

リバスチグミン(貼り薬)

  • 国内試験では 9mgでは無効、18mgで認知機能に有意差あり

  • ただし全般的臨床症状では有意差は得られず、効果は限定的。

  • 飲み薬が難しい患者さん向けの「貼り薬」という特徴が主なメリットです。

メマンチン(中等度~高度アルツハイマー病)

  • 10mg・20mgいずれも認知機能と臨床症状でプラセボに対して有意差あり。

  • 海外と同様、日本でも「中等度以上」での有効性が確認され承認。

  • コリンエステラーゼ阻害薬との併用も可能。

教訓とまとめ

  • ガランタミン:治験で2回失敗。海外データと選択肢不足を根拠に承認。第一選択薬とする理由は乏しい。

  • リバスチグミン:効果は限定的だが「貼り薬」という利便性で存在意義あり。

  • メマンチン:中等度~高度のアルツハイマー病で安定した有効性。

👉 結論:

  • 基本は「ドネペジルが第一選択」

  • それが使えない場合に ガランタミンやリバスチグミンへスイッチ

  • 病期が進んだら メマンチン が選択肢となる

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