在宅医療における認知症について23~抗認知症薬の適用範囲と用法 ― わかりやすいまとめ
- 賢一 内田
- 8月29日
- 読了時間: 2分
適用範囲の違い

抗認知症薬は大きく4種類ありますが、それぞれ使える病気や進行度が異なります。
ドネペジル:軽度・中等度・高度のアルツハイマー病+レビー小体型認知症
ガランタミン:軽度~中等度のアルツハイマー病のみ
リバスチグミン:軽度~中等度のアルツハイマー病のみ(貼り薬)
メマンチン:中等度~高度のアルツハイマー病のみ
👉 全ステージのアルツハイマー病+レビー小体型認知症に使えるのは ドネペジルだけ。そのため第一選択薬とされやすいのです。
用量の考え方
どの薬も 最初は少量(無効用量)からスタート し、副作用を抑えつつ段階的に増やしていきます。
無効用量はプラセボ(偽薬)と同じ効果しかなく、長く続けてはいけません。
副作用(特に消化器症状)を抑えるための「準備期間」として短期間のみ使用します。
日本と海外の違い
日本では 海外より少なめの維持量 しか選択できない薬があります。
例:ドネペジルは日本では10mgまで、海外では23mgも選択可能。
リバスチグミンやメマンチンも同様に、日本では低用量に限定されています。
薬ごとの用法(例)
ドネペジル 開始:3mg/日 → 1~2週間で5mg/日へ増量。 高度アルツハイマー病・レビー小体型認知症では10mgまで可能。 ★1日1回内服、最もシンプル。
ガランタミン 開始:8mg/日 → 4週間で16mg/日へ。 最大24mgまで増量可能。 ★1日2回内服が必要で、管理がやや複雑。
リバスチグミン(貼り薬) 開始:9mg/日 → 4週間で18mg/日に。 あるいは4.5mg/日から12週間かけて増量。 ★貼り薬なので飲み込みが苦手な人に選ばれる。貼り替え忘れによる過量投与に注意。
メマンチン 開始:5mg/日 → 1週間ごとに増量 → 最大20mg/日(腎機能が悪い人は10mgまで)。 ★維持量に到達するまで3回の受診が必要で負担が大きい。
まとめ
適用範囲が広く、内服もシンプルな ドネペジルが第一選択薬になりやすい。
ただし「貼り薬が良い」「副作用で合わない」など個別の事情がある場合はリバスチグミンなどを選ぶことも。
海外と比べて日本の承認用量は低めであり、効果や副作用を見極めながら調整する必要があります。
服薬管理は本人任せにせず、必ずご家族や介護者・医療者がサポートすることが原則です。
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