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【症例紹介】ステロイドが奏功したRS3PE症候群の一例

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 11 時間前
  • 読了時間: 2分

■症例概要

89歳女性。以前より肩関節周囲炎で近医にて加療中でしたが、改善せず大学病院を受診。診断は同様で、NSAIDsが処方されました。ところが、その後より両下腿の浮腫が悪化し、歩行困難となり、当院の往診を受けることになりました。

■当院初診時の所見(令和5年3月)

前医では「原因不明の高CRP血症」とされていましたが、実際には強い全身の痛みでベッドから起き上がることも難しく、両肩および両下肢(特に膝から遠位)に痛みがあり、自力では起き上がれない状態でした。診察では、両手足に著明な浮腫が見られました。

これらの所見(全身の痛み・四肢の浮腫)から、**RS3PE症候群(Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema)**を疑いました。

■治療と経過

ステロイド(プレドニゾロン)10mg/日を開始したところ、わずか2週間で著明な改善がみられました。自力で起き上がることができるようになり、四肢の浮腫も急速に軽快しました。

■検査所見

血液検査では、治療前のCRP 11.3 mg/dL(高値)から、1ヶ月後には1.21 mg/dLまで低下。リウマトイド因子は陰性でした。

■診断と考察

高齢者診療ではPMR(リウマチ性多発筋痛症)を経験する機会は多いですが、その亜型ともいわれるRS3PE症候群も見逃せない疾患です。今回の症例は、当院では2例目の経験となりました。

この疾患は、疾患概念を知らなければ診断に至ることができないため、日常診療においても常に頭の片隅に置いておくべきだと実感しました。

■今後の方針

ステロイドの効果が明確に得られたため、今後は漸減しつつ再燃に注意して経過をみていく予定です。

【まとめ】RS3PE症候群の診断基準(Oliveら)

  1. 急性発症の左右対称性の多関節炎

  2. 両側の手背に圧痕性浮腫

  3. 50歳以上

  4. リウマトイド因子陰性

※診断には上記すべての条件を満たすことが必要です。

#PMR#原因不明の高CRP血症#全身の痛み・四肢の浮腫

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