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「消毒しない」キズの治療法をご存じですか?在宅医療で大切な褥瘡ケアの話

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 4月3日
  • 読了時間: 3分

かつて脳外科医として病院勤務していた頃、創部感染や脳卒中患者さんの褥瘡(じょくそう=床ずれ)は、日常的に悩まされる問題でした。研修医の頃は、毎朝せっせと傷を消毒し、ガーゼを交換するのが大切な日課。これが自分の存在意義だと信じていたものです。

そんな中、「常識」が覆る衝撃の一冊に出会いました。

『キズ・ヤケドは消毒してはいけない』という衝撃

夏井睦先生の著書『キズ・ヤケドは消毒してはいけない―痛くない!早く治る!「うるおい治療」のすすめ』(Amazon Kindleストアで購入できます)

この本に書かれていたのは、「キズは水で洗って、サランラップで覆えばよい」というシンプルで革命的な方法。

それまで当たり前だったイソジンなどの消毒薬は、むしろキズの治りを遅くする「害悪」と断じられていたのです。まさに目からウロコ、衝撃の連続でした。

ガーゼで褥瘡を覆うのはNG!

在宅医療の現場では、褥瘡ができた際に、デイサービスや訪問介護の場面で「とりあえずガーゼで覆っておく」処置が行われることがあります。ですがこれは、かえって褥瘡を悪化させる要因になるのです。

その理由を3つ挙げてみましょう。

① 傷は「湿った環境」でこそ治る!

褥瘡に限らず、キズは「湿潤環境」で最も早く・きれいに治ります。逆にガーゼを当てて乾燥させてしまうと、治癒が遅れます。「乾かして治す」は、もはや前時代の方法です。

② ガーゼが傷にくっついて、剥がすたびに出血と痛み

滲み出た浸出液でガーゼが傷にくっついてしまい、処置のたびに剥がして出血…の繰り返し。これではいつまでたっても傷は治りません。

③ ガーゼの厚みがかえって褥瘡を悪化させる

褥瘡は「同じ場所に長時間、圧力がかかる」ことで生じます。そこに厚めのガーゼを重ねると、体重がその部分に集中し、かえって褥瘡が悪化してしまうのです。

それでもガーゼを使うなら「ひと工夫」!

どうしても浸出液が多くてガーゼを当てたい場合は、三角コーナー用の穴あきポリ袋を利用してみてください。ポリ袋の中にガーゼを入れて覆うことで、キズにガーゼが直接当たらず、乾燥や出血を防げます。

傷を治すには「栄養」も大切!

湿潤療法が正しくても、体に「傷を治す力」がなければ効果は出ません。たんぱく質やカロリーなど、しっかり栄養を取ることも大切な治療の一つです。

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