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高齢者に多い感染症とは?施設や在宅で注意したい主な疾患と特徴

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 7月24日
  • 読了時間: 3分

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高齢者は年齢とともに免疫力(感染への抵抗力)が低下します。そのため、介護施設や在宅医療の現場では感染症のリスクが高く、重症化もしやすいことに注意が必要です。

この記事では、高齢者に多く見られる感染症について、感染経路・症状・注意点を整理してご紹介します。

1. 集団感染を引き起こしやすい感染症

◆ インフルエンザ

  • 原因:インフルエンザウイルス(A型・B型が主)

  • 流行時期:冬季(12~3月)

  • 症状

    • 38℃以上の発熱

    • 関節痛、筋肉痛、全身倦怠感

    • 呼吸器症状(咳、くしゃみ、咽頭痛)※B型では下痢・嘔吐などの胃腸症状もあり

ポイント:高齢者では肺炎を併発し重症化することが多く、早期のワクチン接種が重要です。

◆ 感染性胃腸炎(ノロウイルス・ロタウイルス など)

  • 原因:ウイルスまたは細菌

  • 症状

    • 嘔吐、下痢、脱水

    • 電解質異常による頭痛・錯乱など

流行時期

  • ノロウイルス:秋~冬

  • ロタウイルス:春(3~5月)

◆ 腸管出血性大腸菌感染症(O157など)

  • 症状

    • 水様性下痢、血便、腹痛

    • 重症例では「溶血性尿毒症症候群」や「脳症」なども

注意:食品を介して感染するため、食中毒予防が非常に大切です。

◆ 痂皮型疥癬(かひがたかいせん)

  • 原因:ヒゼンダニの大量寄生(100〜200万匹)

  • 症状

    • 皮膚や爪に白い厚いかさぶた

    • 強いかゆみ※寝具や皮膚接触で感染拡大

◆ 結核

  • 感染経路:飛沫感染(空気感染)

  • 症状

    • 咳・微熱・痰

    • 食欲不振、倦怠感、血痰など

高齢者では再発・再感染しやすく、死亡率も高いため、早期発見と隔離が重要です。

2. 抵抗力の低い高齢者が特にかかりやすい感染症

◆ MRSA感染症(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)

  • 原因:薬剤耐性菌(ペニシリンなどが無効)

  • 症状

    • 発熱、咳、下痢、血圧低下、意識障害

    • 肺炎、腹膜炎、敗血症、皮膚の化膿や蜂窩織炎など

◆ 緑膿菌感染症

  • 原因:水回りに多く存在する菌(日和見感染症)

  • 症状

    • 褥瘡や傷の治癒遅延

    • 菌血症、敗血症、骨まで露出する壊死など

耐性菌(多剤耐性緑膿菌)では治療が非常に困難になるため、感染予防と衛生管理が重要です。

3. 血液・体液を介して感染する感染症

◆ B型・C型肝炎

  • 感染経路:血液・体液

  • 症状

    • 倦怠感、食欲不振、黄疸、褐色尿

    • 慢性肝炎 → 肝硬変 → 肝がんへ進行する場合あり

◆ HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症

  • 感染経路:血液・体液

  • 初期症状

    • 発熱、咽頭痛、発疹、リンパ節腫脹

  • 進行すると

    • 食欲不振、下痢、体重減少、悪性腫瘍や日和見感染症が出現

感染症を防ぐためにできること

高齢者にとって感染症は命に関わるリスクとなることもあります。感染予防のために、以下の対策が重要です。

✅ ワクチン接種(インフルエンザ、肺炎球菌 など)✅ 手洗い・消毒の徹底✅ 発熱や下痢が見られた際の迅速な対応✅ スタッフや家族の体調管理・マスク着用✅ 衛生的な環境整備とリネン管理

まとめ

高齢者は感染症にかかりやすく、重症化もしやすいため、予防と早期対応が重要です。在宅医療・施設ケアを提供する私たちも、日々の観察と丁寧な対応で、安心できる療養生活を支えています。

📍 当院では地域に根ざした在宅医療を通じて、安心と尊厳ある暮らしをサポートしています。

詳細は公式HPをご覧ください。▶ さくら在宅クリニック|逗子市・在宅医療

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