創傷ケア(スキン テア、褥瘡、下肢潰瘍)を科学する30~糖尿病性足潰瘍──足を守るために今できること
- 賢一 内田
- 7月10日
- 読了時間: 3分

〜予防・治療・ケアの実践ポイント〜
糖尿病のある方にとって、「足のケア」は命にかかわる大切なテーマです。足に小さな傷ができたのを放置していたら、いつの間にか潰瘍が悪化し、感染・壊疽から切断に至ることも…。そうした重症化を防ぐためには、正しい予防と早期発見・適切な治療が何より重要です。
✅ 糖尿病性足潰瘍の予防ポイント
1. 🍚 血糖コントロール
HbA1cの目標値は7.0%未満(個別に調整)
合併症予防には、日常的な食事・運動・服薬の管理が不可欠です
2. 🦶 足の観察とケア
毎日のフットチェックで傷・赤み・腫れを早期に発見
足白癬・爪白癬の治療も忘れずに(KOH鏡検で診断)
3. 👞 靴と靴下の工夫
自分に合った靴を履き、縫い目のない靴下を着用
靴の中の異物(小石など)も毎回確認
4. ✂ 正しい爪切りと胼胝・鶏眼ケア
スクエアカット+やすり仕上げが基本
胼胝・鶏眼は自己処理せず皮膚科・フットケア外来へ
5. 💧 保湿ケア
糖尿病の自律神経障害により皮膚が乾燥・亀裂しやすくなります
亀裂から感染を起こさないよう、毎日の保湿を習慣に
👣 病態に合わせたフットウェアの選択
病態・足の状態 | 推奨される靴のタイプ |
軽度の変形がある足 | 市販靴+インソール調整で対応可能 |
中〜高度の変形、潰瘍既往あり | 調整可能な治療用靴またはカスタムメイド靴 |
切断後や高度変形あり | 専門装具士と連携し個別製作 |
🔍 リスク分類に応じた定期評価(Hensen分類)
リスク分類 | 病態・所見 | 評価頻度 |
カテゴリー0 | 知覚神経障害なし | 年1回 |
カテゴリー1 | 知覚障害+変形・皮膚びらんなし | 6か月ごと |
カテゴリー2 | 潰瘍の既往 or 血流障害あり | 3か月ごと |
カテゴリー3 | 潰瘍再発リスク高(ABI < 0.45など) | 毎月~3か月ごと |
🩹 神戸分類による治療方針の概要
分類 | 主病態 | 治療・ケアの基本 |
タイプI | 末梢神経障害 | 教育・靴・フットケア・外傷予防 |
タイプII | 末梢動脈疾患 | 血行再建・創管理(※別稿参照) |
タイプIII | 感染主体 | 早期のデブリードマン+抗菌薬 |
タイプIV | 神経+血流+感染 | 血行再建後にすぐデブリードマン |
👨⚕️ どのタイプであっても、糖尿病内科・皮膚科・整形外科・血管外科など多職種連携が重要です。
🎥 YouTubeでも学べます!
当院のYouTubeチャンネルでは、糖尿病性足潰瘍の予防・評価・ケアについて医師がわかりやすく解説しています。




コメント