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高齢者の「転倒+股関節痛」でまず疑うべきこと

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 7月14日
  • 読了時間: 3分


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大腿骨近位部骨折の診断と治療の基本

✅ はじめに

大腿骨近位部骨折は、高齢者に最も多い転倒によるケガのひとつです。見逃すと寝たきりや合併症の原因となり、ADL(日常生活動作)や生命予後に大きく影響します。

本記事では、超高齢社会を支える皆さんのために、診断から治療、そして退院支援までの基本を、スライドとともに解説します。

1. 🔍どんなときに疑う?

  • 転倒後、股関節の痛みで立てない・動けない

  • 足が外側にねじれ短く見える(短縮・外旋)

これが出たら、まず「大腿骨近位部骨折」を疑うべきサインです。

2. 📝診察所見とカルテ記載のコツ

実際の記載例はこちら:

  • 下肢:見かけ上、短縮・外旋

  • スカルパ三角:圧痛あり

  • 大転子部:圧痛あり

  • 自動下肢挙上:不可能

  • 股関節の他動:強い痛みあり

  • 足背動脈:触知あり

  • 足関節背屈:可能

👉 このような所見があれば、すぐにX線検査へ!

3. 🖼診断に必要な画像検査

  • 基本はX線(両股関節・正面と軸位)

  • 明らかな骨折が見えなくても、痛みが強ければCTやMRIも追加を検討

4. 👵高齢者ならではの背景確認ポイント

確認すべき項目

内容例

既往歴

心疾患、骨粗鬆症など

服薬歴

抗凝固薬や抗血小板薬の有無

生活環境

独居か同居か?支援者の有無

転倒前のADL

自立して歩行できていたか?

介護保険

要介護認定の有無とその程度

認知機能

認知症の有無・程度

👉 生活背景の把握は、治療方針・退院支援に直結します!

5. 🦴骨折部位の解剖と分類

  • 骨頭

  • 頸部(Garden分類で細分類)

  • 転子部(大転子・小転子)

  • 転子下部

👉 どこで折れたかによって、治療法や血流リスクが異なります。

6. 🩺Garden分類と治療方針

Garden分類

特徴

治療法の選択

Stage I・II

非転位型

骨接合術(ネジやピンで固定)

Stage III・IV

転位型

人工骨頭置換術が多い

👉 転位の有無が術式や予後を決める重要ポイントです!

7. 🔧治療の基本方針

  • 基本は早期手術

    • 合併症(肺炎、褥瘡、血栓)を防ぎ、早期リハビリへつなげる

  • ただし、全身状態が悪く麻酔が難しい場合は保存療法も選択肢

8. 🖼画像で学ぶ:転位のない骨折

  • X線で明らかな転位がなくても、👉 「症状が強い」=骨折の可能性あり!

  • 見逃さないために、慎重な読影が必要です。

9. 🖼画像で学ぶ:転位のある骨折

  • 骨頭と骨幹の連続性が断たれている

  • Garden分類ではStage III〜IVに相当

👉 人工骨頭置換術が第一選択となることが多いケースです。

10. 🔩大腿骨転子部骨折とは?

  • 骨幹に近い部位の骨折で、血流が比較的保たれやすい

  • 治療法:骨接合術(プレート・髄内釘)

  • 骨癒合しやすいため、👉 早期荷重開始・リハビリが鍵!

11. 🛏術後の注意点

  • 原則、術後すぐに離床・全荷重OK

  • 人工骨頭置換術では、脱臼に要注意!

特に後方アプローチの場合は、股関節屈曲+内転+内旋で脱臼リスクが高まります。ポジショニングに注意を。

12. 🎯まとめ:診療の要点

「転倒+股関節痛」=まず骨折を疑う✅ 身体所見+X線+社会背景をしっかり確認✅ 手術が原則。ただし、個別の事情で保存療法も✅ Garden分類など解剖を理解し、治療方針を選択✅ 術後は早期リハビリと脱臼予防が重要!

📺 もっと詳しく知りたい方へ!

在宅医療・認知症ケア・呼吸器疾患についてYouTubeでもわかりやすく解説中!

内田賢一 - YouTubeチャンネルhttps://www.youtube.com/@sakurazaitaku

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