認知症について家族へ向けて5~生活から言葉や記号が 消えるって こんなに不便だったのか!
- 17 時間前
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認知症ケア × 在宅医療

生活から言葉や記号が
消えるってこんなに不便だったのか!
認知症による「言語・コミュニケーション障害」を理解し、ご本人・ご家族が安心して暮らせるヒントをお届けします。
わたしたちは、あらゆるモノ・コトに対して言語という記号をつけ、他者と共有することでコミュニケーションをとっています。

💬言葉って、実はとても曖昧なもの
たとえば、言葉を覚えたての幼児にとって、自動車は「ブーブー」ですが、大きくなるにつれて「車」「自動車」と呼び方は変化していきますよね。次第に自動車の中でも、自家用車・消防車といった用途、電気自動車・ガソリン車といったエネルギー源の違いを示すために、異なる記号(名称)をつけ、ジャンル分けしていきます。
車は、英語では「car」、中国語では「汽車」と呼びます。ただし、「汽車」は日本語だと「鉄道」を意味しますよね。海外へ旅行に出かけると、このように言葉の持つ意味が違ったり、場合によっては伝えたい意味を表す言葉が存在せずに困ったりすることが多々あります。

では、もしそのような状況が日常でも起きてしまうとしたら?
認知症になると、この「言葉と意味の結びつき」が少しずつ崩れていきます。それは、本人にとってどれほど不便で、もどかしいことでしょうか。
例えば
「すごい!」しか言えないレストランの世界
認知症ワールドには「創作ダイニングすごい!」というレストランを創造してみます。この店では、料理の名前を表す言葉が存在しないため、みんな「あれ!」「それ!」と言って注文します。そして、出てくる料理は、和食とも中華ともフレンチとも言いがたい、なんとも表現できないもの。
また、味を表す言葉は「すごい!」の一言。どんな料理を食べても、みんな口々に「すごい!」と満面の笑みで話しています。食べてみると、「すごい!」以外の言葉が頭にまったく浮かびません。まさに筆舌に尽くしがたい体験です。
当事者の体験
「最近、同窓会で友人と話していたとき、『最近〈あそこ〉に行ったんだけど……』『学生時代によく食べた〈あれ〉注文したいんだけど……』と、口から出るのがなんだか「あれ」「これ」ばかりで、具体的な言葉がスムーズに出てこないことがありました。」
🔍認知症で起こる「言語・コミュニケーション」の困りごと
認知機能の障害により、言葉が持つイメージや概念が徐々に不確かになってきます。以下に代表的な心身機能障害と、それによる生活の困りごとを紹介します。



🟡 心身機能障害10|抽象的言語・概念・記号の表す意味を想起できない
アナログ時計が読めない
「長針が分」「短針が時間」を表すということを強く意識しないと読めない。意識しながら読もうとすると、とても疲れてしまう。
「下着」の棚からパンツを出せない
引き出しに「下着」「靴下」「Tシャツ」などのラベルが貼ってあるのだが、パンツがその3つのどこにあるかわからず、すべての引き出しを開けて中を確かめなければ探し出せない。
ATMの操作方法がわからない
「入金」「出金」「振り込み」などのボタンの中で、どれを押せばお金がおろせるかわからない。窓口に行っても「ATMの方が早い」と案内されて困る。
目当てのものが見つけられない
店で塩を探していたとき、棚に「調味料」「乾物」「粉類」などの表示があったが、塩がどこにあるかわからず探し回る。
どのエレベーターに乗ればいいのかわからない
エレベーターの表示が「1・13階」「1ー7階」となっていて、6階に行くためにどれに乗ればいいかわからない。
漢字をひとまとまりの文字として読めない
「仏」という字はカタカナの「イ」と「ム」に、「伊藤」という名前は「伊」と「藤」を別々に認識して「いふじ」と読んでしまう。

🟡 心身機能障害11|固有名詞からその内容やイメージを想起できない
地名と過去の記憶が紐付かない
知っている地名を聞いても、そこがどこにあり、どんな場所か、そこで自分は何をしたのかという具体的なことを思い出せない。実際に行っても、初めて来たように感じる。
人の名前が覚えられない・思い出せない
新しく会った人の名前を覚えることが難しい。長い付き合いの友人の名前も思い出せない。まったく別の人と間違えることも。

🟡 心身機能障害12|使い慣れた日常単語・漢字・記号を想起できない
言葉が出づらく、会話が滞る
「バス」「ヨーグルト」「フォーク」などの日常単語が思い出せず、言葉に詰まる。「あの、毎朝乗るあれ」などと頭の中でイメージはできているのだが、その単語がどうしても思い出せない。
使い慣れた・見慣れた漢字が書けない
漢字を思い出せず、目の前に見本を置いて見ながら書いても、なんだか図形を書いているよう。目の前に正しい漢字があっても、自分の頭の中にある漢字の記憶と結びつかないため、ピンとこない。


🟡 心身機能障害13|文法・複数の単語の組み合わせを理解できない
会話の内容が理解できない
人の話を熱心に聞いていても、単語ばらばらと耳に入ってきて、1つの文章として理解できず、聞き終わっても内容がまったく頭に入っていない。
仕事や公的手続きの説明を聞いても理解できない
役所で年金・医療費控除などの手順や必要なものを順序立てて説明されても、理解できず、準備・手続きをすることができない。
新聞の内容が理解できない
文章を読むことはできるが、読み終えても内容がまったく頭に残っていない。ただ文字や単語をたどっているだけで、頭の中で内容を整理し、意味を理解することが難しい。

🟡 心身機能障害14|自分の考え(意思・思い)を言語化できない
文章を組み立てるのが難しい
「こんなことを書こうかな」と頭に浮かんでも、それを文章にまとめて書くことが難しい。表現したい単語が思い浮かばず、いくつもの単語を連ねて文章にすることが難しい。
準備をしても、話す内容を忘れ、頭が真っ白になる
仕事でプレゼンをするとき、話す内容を考え資料も用意し、十分に準備したのに、いざ本番になると頭が真っ白になり、何を話せばいいかわからなくなってしまう。

🌸ご家族へ|コミュニケーションで大切にしたいこと
認知症の方が「あれ」「これ」ばかり言うとき、それは怠けているわけでも、ふざけているわけでもありません。脳の機能的な変化により、言葉と意味の橋渡しが難しくなっているのです。
🌸 ご家族へのアドバイス
✅ 「あれ」「これ」を否定せず、一緒に探す姿勢を持つ✅ 短く、ゆっくり、一度に一つのことを伝える✅ 表情・ジェスチャー・写真など言葉以外のコミュニケーションを活用する✅ 伝わらなくても責めず、「大丈夫だよ」と安心させる✅ 困りごとが増えてきたら、早めに在宅医療チームに相談する
言葉が出なくても、感情は残っています。笑顔で穏やかに接することが、何より大切です。

🌸 さくら在宅クリニックのご紹介
さくら在宅クリニックは、神奈川県逗子市を中心に、住み慣れたご自宅での療養を支える訪問診療・在宅医療の専門クリニックです。認知症のご本人とそのご家族が、安心して日常生活を送れるよう、医師・看護師・多職種チームが連携してサポートいたします。
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