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看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する55~血行動態の評価:IVC(下大静脈)の観察ポイント

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 11月8日
  • 読了時間: 2分


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① IVCの太さから循環状態を読み解く

下大静脈(IVC:Inferior Vena Cava)の観察は、うっ血性心不全のスクリーニングに有用です。IVCは右房圧を反映する血管であり、呼吸に合わせて径が変化します。吸気時には陰圧により血液が右房に引き込まれ、径が細くなり、呼気時には膨らみます。

この呼吸性変動が小さい、あるいは消失している場合には、右房圧上昇=うっ血を疑います。循環動態が不安定な患者では、まずこのIVCの動きを確認することが重要です。

② 測定方法:右房入口から約2cmの位置で

IVC径は**吸気時(最小径)呼気時(最大径)**を測定します。図のように、肝臓をランドマークとして右房入口部から約2cmの位置で計測します(図8参照)。

基本的には長軸像での観察が推奨されますが、描出が難しい場合には短軸像での確認も可能です。このとき、右房との連続性を意識しながら、径の変化を観察しましょう。

③ 評価の目安:うっ血 or 脱水のサイン

IVC径と呼吸性変動

推定される状態

20mm以下で呼吸性変動あり

正常

20mm以上で呼吸性変動なし

うっ血性心不全を疑う

10mm以下または虚脱し測定困難

脱水・低容量状態を疑う

IVCは輸液・利尿薬投与の方針判断にも役立ちます。LVEFが保たれていても心不全は否定できません。血行動態の視点から、必ずIVCも観察しましょう。

🩺 ポイントまとめ

  • 右房入口から2cmの位置でIVC径を測定

  • 吸気・呼気の差(呼吸性変動)に注目

  • 太く変動が乏しい → うっ血を疑う

  • 細く虚脱気味 → 脱水を疑う

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