看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する⑧~エコーの基礎知識:撮影の手順とポイント
- 賢一 内田
- 7月28日
- 読了時間: 3分
はじめに
エコー(超音波)検査は、非侵襲的かつリアルタイムに体内を観察できる重要な手段です。今回は、エコー検査を安全かつ正確に行うための基本的な撮影手順を紹介します。
1. 機器の準備
● 使用機器の種類
エコー装置には以下のタイプがあります:
据置型:検査室で使用。高機能・高画質。
ポータブル型:病棟・手術室向け。持ち運び可能。
携帯型:在宅や災害医療向け。超軽量。
● 電源の接続
主電源:装置背面からコンセントへ接続。
副電源:操作パネルでスイッチON。
2. 撮影前の準備
● 情報入力
患者ID、検査部位、日時などを入力し、プローブ種別・周波数・表示スケール・ゲイン・焦点位置を調整。
● ゼリーの準備
ゼリー:プローブと体表の間に塗布し、音の伝達性と画像精度を高める。
ウォーマーを使用すると患者の不快感も軽減。
※ 注意:プローブの接触面に空気が入らないように密着させること!
3. 患者の準備
観察部位を露出し、それ以外はタオル等で覆う。
検者は患者の右側に座り、右手でプローブを持つのが基本スタイル。
プライバシーと安楽を意識した体位設定が重要。
4. 観察時の基本動作
● プローブの持ち方
短軸方向:第1指と第3指で軽く挟む。
第5指を体表に固定し安定させる。
● ボディマーク(プローブのマーク)の向き
短軸方向では右側が“画面左”に写るように。
長軸方向では頭側が“画面左”に写るように保持。
5. 画像の調整ポイント



調整項目 | 説明 |
ゲイン(Gain) | 明るさ(輝度)の調整。60〜100dB程度で調整。 |
STC(Sensitivity Time Control) | 深さごとの明るさの補正。 |
ダイナミックレンジ(Dynamic Range) | コントラスト調整(30〜90dB)。 |
画面拡大(Depth) | 観察対象の深さに応じてズーム。 |
フォーカス(Focus) | 観察対象に焦点を合わせ、鮮明化。 |
操作パネルは機種により異なるため、●印の操作部は必ず事前に確認しておきましょう。
6. 撮影時の注意点(コラムより)
ゼリーは十分な量を使用し、空気が介在しないよう密着。
プローブは清潔を保ち、ラップ等で感染対策を。
観察したい部位では滑らせるのではなく静止させて確認。
患者の快適性と尊厳を保ちつつ、正しい体位・圧迫力を心がけましょう。
7. エコー画像の評価ポイント
筋・腱・血管・臓器などの形態や動きが明瞭に見えているか。
撮像方向やプローブの角度が適切か。
身体所見と一致する画像が得られているか。
おわりに
エコー検査は誰でも簡便に行える一方で、「画質」や「操作の工夫」によって診断精度が大きく変わる検査でもあります。基本の手順を丁寧に押さえることが、より質の高い医療に繋がります。ぜひ、日々の実践にお役立てください。YouTubeでも学べます!
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