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在宅医療を科学する3~病態の理解

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 3 日前
  • 読了時間: 2分

― 静脈うっ滞性皮膚潰瘍という視点 ―

前回までにご紹介した難治性蜂窩織炎の症例では、単なる感染症としてでは説明しきれない「治りにくさ」がありました。

その背景として重要なのが、**静脈うっ滞性皮膚潰瘍(chronic venous ulcer)**という病態です。

■ 下肢浮腫は「原因」ではなく「結果」

下肢浮腫をきたす疾患は多岐にわたります。

  • 心不全

  • 深部静脈血栓症(DVT)

  • リンパ浮腫

  • 蜂窩織炎

いずれも共通して、下肢の静脈還流が障害される状態を引き起こします。

■ 静脈圧上昇がもたらす連鎖

表在・深部静脈の弁不全血栓後遺症があると、下肢の静脈圧は慢性的に上昇します。

その結果、

  • 毛細血管が拡張

  • 血漿成分やリンパ液が皮膚へ漏出

  • フィブリン沈着が進行

といった変化が皮膚レベルで起こります。

■ 「酸素が届かない皮膚」

静脈うっ滞が続くと、酸素や栄養の拡散障害が生じます。

これは見た目以上に深刻で、

  • 慢性的な炎症

  • 局所虚血

  • 皮膚バリア破綻

を経て、潰瘍形成へと進行します。

この段階では、👉 抗生剤だけでは治らない👉 外用薬を変えるだけでも不十分

という状況になりがちです。

■ 蜂窩織炎を繰り返す理由

静脈うっ滞性皮膚潰瘍では、

  • 皮膚の防御機構が破綻

  • 滲出液が持続

  • 常在菌・環境菌が侵入しやすい

という状態が続きます。

そのため、**蜂窩織炎を「繰り返す・長引く」**ことが少なくありません。

本症例で蜂窩織炎が難治化した背景にも、この病態が強く関与していたと考えられます。

■ 在宅医療で重要になる視点

静脈うっ滞性皮膚潰瘍は、

  • 生活姿勢(下肢挙上の有無)

  • 活動量

  • 皮膚ケア・保湿

  • 浮腫管理

といった日常生活そのものが治療になります。

在宅医療では、**「薬を処方する」だけでなく「生活を一緒に整える」**ことで、初めて改善の道筋が見えてきます。

■ まとめ

難治性蜂窩織炎の背景には、静脈うっ滞性皮膚潰瘍という慢性病態が隠れていることがあります。

  • 感染 × 循環障害 × 生活背景

  • これらを切り分けて考えることが重要

この視点を持つことで、「なぜ治らないのか」「何を優先すべきか」が見えてきます。

在宅医療・慢性創傷管理については👉 さくら在宅クリニック公式サイトhttps://www.shounan-zaitaku.com/もぜひご参照ください。

🏷 タグ

#静脈うっ滞性皮膚潰瘍#慢性静脈不全#下肢浮腫#難治性蜂窩織炎#慢性創傷#高齢者医療#在宅医療#訪問診療#生活を診る医療#さくら在宅クリニック

 
 
 

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