「われに自由を与えよ、さもなくば死を」——高齢者の“歩く自由”について考える
- 賢一 内田
- 3 日前
- 読了時間: 3分

Give me liberty, or give me death !(われに自由を与えよ、しからずんば死を)この言葉は、アメリカ独立戦争の火蓋が切られる直前、ヴァージニア植民地協議会でパトリック・ヘンリーが叫んだ歴史的な名言です。
私はこの言葉を、小学生の頃におばあちゃんが買ってくれた「学研まんが人物日本の歴史シリーズ」で初めて知りました。あのシリーズ、大好きだったんです。「できるできないの秘密」といった好奇心をくすぐるタイトルや、秀逸なコピーライティングに夢中になったのを今でも覚えています。最近知ったのですが、Amazonで今でも手に入るそうで、我が子にも読ませてあげたいと思っています。
さて、本題です。
勤務医時代、そして今も施設へ訪問診療をしていると、よくスタッフからこんな相談を受けます。「○○さんが勝手に立ち上がって歩こうとするんです。危なくて…」
最近も、90代の女性入所者について相談がありました。認知症があり、「勝手に歩かないでくださいね」と言ってもすぐに忘れて歩き出してしまう。過去に転倒して胸椎圧迫骨折もしており、確かに転倒リスクは高い方です。
こうした状況、施設ではよくあることだと思います。私がいつもお伝えするのは、「歩ける人が歩こうとするのは止められません。それなら歩行器を使って歩いてもらう方が、よほど安全で自然です。もちろん、転倒のリスクがあることをご家族にも理解していただく必要があります」ということです。
「歩かないようにさせる」手段はないわけではありません。たとえば、抗精神病薬を大量に使ってぐったりさせる、あるいは車椅子に縛りつけてしまう――でも、そういった方法が人道的に正しいとは到底思えません。
立って歩くという行為は、人間としての尊厳そのものではないでしょうか。それを奪ってまで「安全」だけを追い求めることが、本当に本人のためになるのでしょうか。
もちろん、転倒すれば骨折、最悪寝たきりになる可能性もあるでしょう。けれど、その中でも**「人間としての尊厳を保てた」と言える選択肢がある**と、私は信じています。
そんな思いを持って、日々の診療をしています。そして願わくば、こうした姿勢を持つ施設が少しずつでも増えてくれることを、心から願っています。
まさに、Give me liberty, or give me death. 📺 在宅診療の現場から学ぶYouTubeチャンネル開設中!▶ 内田賢一 - YouTube
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