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看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する③~初心者がつまずきやすい「エコー画像の落とし穴」

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 7月13日
  • 読了時間: 3分

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~アーチファクト・装置・体型の影響とは?~

医療現場で多用される超音波検査(エコー)は、CTやMRIと比べて手軽で非侵襲的。しかし、画像がわかりづらいという声が多いのも事実です。

その大きな原因が、**アーチファクト(artifact)**と呼ばれる“画像上のノイズ”です。今回は、そんなエコー画像を読み解く際の「落とし穴(ビットフォール)」について、わかりやすくまとめます。

🔍 エコー画像を見にくくする“アーチファクト”とは?

アーチファクトは、音波の反射・屈折・減衰などによって本来の画像とは異なる見え方が生じる現象です。

ただし、診断のヒントになるアーチファクトもあるため、仕組みを理解しておくことがとても大切です。

主なアーチファクトの種類

屈折による歪み・影(外側陰影)

音速の異なる組織の境界で音波が曲がることで、実際より形が歪んで見えたり、構造の位置がずれて表示されたりします。腫瘤の横や奥に「影(lateral shadow)」が出るのも特徴です。

📷 図2:腫瘤の外側陰影と形状変化(屈折の影響)

反射による虚像・音響陰影

  • 鏡面現象:骨など強い反射面で線対称の偽像が出現

  • 音響陰影:結石・骨など強く反射する物体の後方にエコーが届かず“黒く抜ける”

📷 図3・4:皮下血腫の虚像、肋骨後方の音響陰影

減衰(Attenuation)

深部に進むほど、エネルギーが吸収・散乱されて音波が届かなくなる現象。高周波では減衰が大きく、深部が見えにくいです。

📷 図5:高周波では深部が見えにくい例

増強(Posterior Enhancement)

液体など音波が減衰しにくい組織を通過すると、その後方が周囲より明るく表示されることがあります。嚢胞などでよく見られる所見です。

📷 図6:嚢胞の後方音響増強

多重反射(Reverberation)

体表と強い反射面の間で音波が何度も反射し、**血管内などに“かすんだ高エコー像”**が現れます。

📷 図7:総頸動脈内の多重反射像

サイドローブ(副極)

主ビーム以外に斜めに出るサイドローブが、実像と異なる位置に偽の高エコー像を作ることがあります。

📷 図8:両端が上がった弓状の高エコー(サイドローブ)

👩‍⚕️ アーチファクトを防ぐ・軽減するには?

🔧 操作テクニックがカギになります!

  • ゼリーをしっかり塗る(密着性UP)

  • プローブの角度を調整する

  • わずかに移動して“圧迫”を最適化

📷 図9:多重現象が解消される例

💻 装置の違いも画質に影響!

機器

周波数

特徴

据置型(18MHz)

高周波・高画質

筋線維や毛穴まで鮮明

ポータブル型(12MHz)

やや低周波

表層観察可能だが分解能はやや劣る

📷 図10:据置型とポータブル型の画像比較

🧍‍♂️ 体型の影響にも注意!

肥満体型では皮下脂肪が多く、超音波の減衰が大きくなり深部の画質が低下します。逆に、やせ型では深部まで明瞭に描出できます。

📷 図11:体型による減衰の差

✅ まとめ:エコー画像読影の「落とし穴」とは?

  • アーチファクトはエコーに特有の“錯覚”

  • 正確な読影には知識+技術+経験が必要!

  • 装置や体型による違いも意識しよう

🔰 エコー画像は慣れるまで難しいですが、「なぜそう見えるか」がわかると診断の大きな武器になります!

 
 
 

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