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パーキンソン病を科学する25④~【14の視点で整理】パーキンソン病治療薬は“何をどう”狙っているのか?

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 6月19日
  • 読了時間: 3分


~メカニズム・ターゲット・治療アプローチ別の臨床試験分類~

パーキンソン病治療の研究は、単に「薬があるかどうか」では語り尽くせません。重要なのは、その薬がどのような仕組み(メカニズム)で、どの病態(ターゲット)に、どうアプローチするかです。

2020年時点で進行中だった145件の臨床試験は、以下のように14のカテゴリーに分類されています(J Parkinson’s Dis. 2020;10(3):757–774)。

■ 14の治療カテゴリー(例)

分類

アプローチ例

試験数(計)

主な目的

Dopaminergic symptom relief

ドーパミン補充

34件

運動症状の改善

Non-dopaminergic symptom relief

非ドパミン性補助

41件

非運動症状・補助療法

Cell therapy

幹細胞・移植療法

9件

神経再生

Antioxidants

酸化ストレス抑制

2件

細胞保護

Targeting α-synuclein

αシヌクレイン凝集抑制

5件

疾患進行の根本抑制

GBA

遺伝子関連(GBA変異)

4件

個別化医療

Microbiome/GIT

腸内細菌叢など

4件

炎症制御/代謝改善

■ 開発の方向性は大きく3タイプに分けられる

カラーアイコン

意味

🔶 オレンジ

対症療法(Symptomatic Therapies)

🔷 ブルー

疾患修飾+対症療法(混合)

🔴 レッド

疾患修飾療法(Disease Modifying Therapies)

これらの研究は、「運動症状の改善」と「非運動症状(認知・便秘・睡眠など)」、そして「疾患進行そのものの抑制」にまたがって行われています。

■ 特に注目される研究領域

  1. 非ドパミン系症状の改善(41件) 幻覚・気分障害・疲労・嚥下障害など、生活の質(QOL)に直結する領域。

  2. αシヌクレイン標的治療(5件) 病気の原因とされる異常タンパク質への直接アプローチ。

  3. GBA変異ターゲット(4件) 遺伝的要因に基づいた個別化医療(Precision Medicine)の台頭。

■ まとめ:未来の治療は「多軸的」にやってくる

かつては「L-DOPA一択」だったパーキンソン病治療も、いまや「神経保護・再生・症状緩和・個別最適化」と多面的な方向に進んでいます。

パーキンソン病の治療は、「病気と共に生きる力を支える」医療へ。

🧠 出典J Parkinson’s Dis. 2020;10(3):757–774ClinicalTrials.gov(2020年1月時点)

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