看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する38~下肢に対する末梢神経ブロック ― 大腿神経ブロックと坐骨神経ブロック
- 賢一 内田
- 10月1日
- 読了時間: 2分

下肢の末梢神経ブロックは、股関節・大腿・膝・下腿・足部の手術や疼痛コントロールに有効です。代表的なのは 大腿神経ブロック と 坐骨神経ブロック です。
① 大腿神経ブロック
解剖とエコーでの描出
大腿神経は、鼠径部で 大腿動脈の外側 を走行
エコーでは 腸骨筋の上にある楕円形の高エコー領域 として描出され、内部に無エコーの斑点(神経線維)が見られます
手技
鼠径部で外側から穿刺
大腿動脈の外側にある大腿神経に針を近づける
腸骨筋と大腿神経の間に局所麻酔薬を注入し、カテーテル留置することも可能
適応
大腿前面~膝~下腿内側の痛み
股関節手術(例:大腿骨頸部骨折)
膝・足関節内側の手術や疼痛管理
② 坐骨神経ブロック
解剖と特徴
坐骨神経は人体最大の末梢神経
仙骨神経叢から分岐し、大坐骨孔を通り殿部~大腿後面~膝窩~下腿後面を走行
アプローチ
殿下部アプローチ
膝窩アプローチ(ポピテアル)
特に膝窩ではエコーで同定しやすく、カテーテル留置もしやすい
カテーテル固定の工夫
膝外側から挿入しテープ固定
外側に固定することで膝屈伸や着衣の際にスムーズ
適応
下腿後面~足趾の疼痛
足関節・下腿後面の手術
下肢虚血に対する血流改善
まとめ
大腿神経ブロック → 大腿前面~膝・下腿内側
坐骨神経ブロック → 下腿後面~足趾
いずれもエコーガイド下で「神経・筋膜・針」を確認することが安全施行の鍵です。
術後疼痛コントロールや血流改善にも有効であり、カテーテル留置を組み合わせることで持続的な効果が得られます。




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