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看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する37~上肢に行う末梢神経ブロック ― 腕神経叢とエコーの描出ポイント

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 9月30日
  • 読了時間: 2分

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末梢神経ブロックは、上肢・下肢・胸部・腹部に大きく分けられます。ここでは 上肢のブロック(腕神経叢ブロック) について整理します。

腕神経叢の解剖と走行

腕神経叢は、第5頸椎(C5)から第1胸椎(T1)の脊髄神経前枝が合流して形成されます。

  • 前斜角筋と中斜角筋の間を通過

  • 鎖骨の下をくぐり、腋窩へと続く

エコーを用いることで、これらの走行をリアルタイムに確認しながらブロックが可能です。

穿刺アプローチの4つの部位

腕神経叢ブロックには以下のアプローチがあります(図参照)。

  1. 斜角筋間アプローチ(interscalene)

    • 神経の描出が容易で、肩の手術でよく用いられる

    • カテーテル留置も可能

  2. 鎖骨上アプローチ(supraclavicular)

  3. 鎖骨下アプローチ(infraclavicular)

  4. 腋窩アプローチ(axillary)

目的とする部位や術式に応じて選択されます。

適応となる疾患・手術

  • 肩や上肢の手術

  • 術後疼痛コントロール

  • 手指の血流障害に伴う痛みや血流改善

特に、肩の手術では斜角筋間にカテーテルを留置し、術後リハビリテーションに有効です。

エコーで描出すべき3つのポイント

エコーガイド下で末梢神経ブロックを行う際には、以下を描出することが重要です。

  1. 神経

    • 中枢側 → 黒い円形の無エコー域

    • 末梢側 → 蜂の巣状(白と黒が混在)

  2. 神経が走行する筋膜面や空間

    • 筋膜・骨は白く高エコー

    • 骨深部は音響陰影で黒く抜ける

  3. ブロック針

    • 針先をエコーで確認しながら局所麻酔薬を注入

まとめ

腕神経叢ブロックは、肩や上肢の手術・疼痛管理に広く用いられます。エコーを活用することで、

  • 神経・筋膜・針先を確実に描出

  • 安全で確実な麻酔効果

  • カテーテル留置による持続的な鎮痛

が可能となり、術後のリハビリや患者QOLの改善に役立ちます。

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