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看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する35~エコーでみる!シャント狭窄とPTA介入の判断ポイント

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 9月28日
  • 読了時間: 2分

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透析シャントは「生命線」とも呼ばれる大切な血管です。シャントのトラブルを早期に見抜き、安全に透析を続けるために重要となるのが エコーによる評価 です。今回は、エコーを活用したPTA(経皮的血管形成術)の適応判断について整理します。

PTA(経皮的血管形成術)が必要となるケース

① 脱血不良などで透析困難な場合

最も多いのは、脱血不良や著明な静脈圧上昇により透析困難となるケースです。

  • 脱血部の末梢側に狭窄がある

  • 上腕動脈血流量が 350mL/分未満

この条件では穿刺部位に関わらず脱血不良が起こり、PTAが必要となります。また返血部に高度狭窄があり、静脈圧上昇で透析継続が困難な場合や閉塞リスクが高い場合も介入の対象です。

② 透析効率の低下

脱血不良がなくても、血流量低下による再循環が起きている場合はPTAを検討します。ここでも目安は 上腕動脈血流量 350mL/分未満 です。

③ 突然の閉塞リスク

狭窄部の前後で脱血と返血を行っていると、症状が出にくいため、ある日突然閉塞する危険があります。定期的なエコー観察が重要です。

エコーでの判断基準

  • 70%以上の狭窄

  • シャントに拍動が出ている

  • 血管径 1.5mm以下

これらはPTA適応の大きなサインです。血管径が1.5mm以上でも、臨床症状や閉塞リスクがあれば介入を検討します。

過剰血流にも注意!

「流れが多いほど良い」とは限りません。透析に必要な上腕動脈血流量は 500~1,000mL/分程度

  • 2,000mL/分を超える場合 → 心臓への負担が大きくなります。明らかな心不全症状があれば、血管バンディングなどで血流を制御する治療が必要となります。

まとめ

エコーはシャントトラブルを早期に発見し、PTAの適応を正しく判断するために欠かせないツールです。

  • 血流量(350mL/分・2,000mL/分が目安)

  • 狭窄率(70%以上)

  • 臨床症状(脱血不良・再循環・心負荷)

これらを総合的に評価し、適切なタイミングで介入につなげていきましょう。

📺 関連動画はこちら → [さくら在宅チャンネル(YouTube)]

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