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看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する29~エコーで判断できること ― 経鼻胃管留置の安全確認

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 9月13日
  • 読了時間: 2分


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経鼻胃管とは

経鼻胃管は、意識レベルが低下した患者さん嚥下障害を持つ患者さん、あるいは咽頭・食道の手術後の患者さんに使用される管です。鼻から食道を通り、胃まで挿入して、栄養や水分の投与胃内容物の排出などを行います。

しかし、この管が誤って気管内に挿入される危険があります。そのまま栄養や水分を投与してしまうと、誤嚥性肺炎や気胸を起こし、時に命に関わる事故につながります。そのため、経鼻胃管を使用する際は「正しく胃に留置されているかどうか」を必ず確認しなければなりません。

従来の確認方法と課題

経鼻胃管の位置確認にはいくつかの方法がありますが、それぞれにデメリットがあります。

① 胸部X線撮影

  • 利点:管の位置を直接「目で見て」確認できる。

  • 欠点:被曝を伴い、機材が必要。在宅やベッドサイドでは難しく、看護師は実施できない。

② 吸引法

  • 方法:管から内容物を吸引し、pHや性状を確認する。

  • 欠点:制酸薬の影響を受ける、内容物が吸引できない場合は判断できない。直接確認ができない。

③ 聴診法

  • 方法:空気を注入して、気泡音を聴診する。

  • 欠点:気泡音が胃からか、気管からか判別困難。単独での確認は危険。

➡ このように、従来の方法は被曝リスク・簡便性の欠如・判定精度の低さなどが課題でした。

エコー(超音波)による新しい確認方法

近年注目されているのが、エコーを用いた経鼻胃管の留置確認です。

エコーの特徴

  • 非侵襲的:被曝なし、患者さんの苦痛も少ない

  • 簡便性:ベッドサイドや在宅でもリアルタイムに確認可能

  • 可視性:体内の管の位置を直接「見える化」できる

エコーで確認できること

  • 頸部食道での管の通過を確認 → 気管内誤挿入を防げる

  • 食道胃接合部での管先端の到達を確認 → 適切な位置にあるかを判断

このように、エコーは従来の欠点を補える方法として期待されています。特に在宅医療やベッドサイドでの安全性向上に寄与します。

まとめ

  • 経鼻胃管は命に直結する処置であり、誤挿入を防ぐための確認が必須。

  • 従来の方法には被曝や判定精度の問題がある。

  • エコーは「非侵襲的・簡便・可視化」できる新しい確認手段として有用。

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