創傷ケア(スキン テア、褥瘡、下肢潰瘍)を科学する⑨~褥瘡(じょくそう)を防ぐために一番大切なこと
- 賢一 内田
- 2025年6月17日
- 読了時間: 4分

褥瘡(床ずれ)の対策で一番大切なのは、何よりも「予防」です。一度できてしまった褥瘡をケアすることも大切ですが、そもそも**「どうすればできないようにできるか」**を考えることが、患者さんの生活の質(QOL)を守るカギになります。
そのために欠かせないのが、「リスクアセスメント」という考え方です。
褥瘡リスクアセスメントって何?
褥瘡ができる原因には、年齢・栄養状態・動きにくさなど、いろいろな要素が関わっています。そのため、**「この人にはどれくらい褥瘡のリスクがあるのか?」**を事前に評価することが大事です。
これを「褥瘡リスクアセスメント」と呼びます。
褥瘡予防のガイドラインでも、このアセスメントは「行うことが勧められる(推奨度B)」とされており、介護や医療の現場ではとても重要な役割を果たします。
よく使われるリスクアセスメントの種類
スケール名 | 特徴・使う場面 |
ブレーデンスケール | 最もよく使われている評価方法。病院や施設で幅広く利用されています。 |
厚労省・褥瘡危険因子評価票 | 高齢者や障害のある方が対象。1つでも当てはまれば注意が必要。 |
OHスケール | 寝たきりや体力が弱っている高齢者向け。マットレス選びにも役立ちます。 |
K式スケール | 在宅療養中の高齢者向け。介護の知識の有無も評価に入ります。 |
ブレーデンQスケール | 子ども向けに作られた評価法。 |
脊髄損傷褥瘡スケール | 脊髄損傷を持つ方のための専用スケール。 |
※使う場所や対象の方に合ったスケールを選ぶことが大切です。
ブレーデンスケールってどんなもの?
「ブレーデンスケール」は、アメリカで開発され、日本でも30年以上前から使われている信頼性の高い評価方法です。褥瘡予防に関するガイドラインでも、唯一「推奨される」と明記されています。
評価する6つの項目
項目 | 確認するポイント |
① 感覚の状態 | 痛みや不快感に気づいて伝えられるか |
② 皮膚の湿り具合 | 皮膚が汗や尿などでどのくらい湿っているか |
③ 活動量 | 普段どのくらい動いているか(寝たきり〜歩行) |
④ 動ける力 | 自分で寝返りなど体位を変えられるか |
⑤ 栄養状態 | 食事の内容や食べる量、栄養の取り方 |
⑥ 摩擦・ずれ | ベッドや車いすからずり落ちる、皮膚がこすれることがあるか |
各項目を点数で評価し、合計点が低いほどリスクが高いと判断されます。(最高23点/最低6点)
点数で見る「危険度」と対策の目安
合計点数 | リスク | 必要なケアの目安 |
15~18点 | 軽度リスク | 定期的な皮膚チェック・体圧分散など |
13~14点 | 中等度リスク | 体位変換・スキンケア・栄養管理の強化 |
12点以下 | 高リスク | マットレス導入など積極的な予防が必要 |
アセスメントはどれくらいの頻度で行う?
● 入院中の方(急性期):入院後24〜48時間以内に最初の評価、その後は48時間ごとにチェック● 慢性期・施設・在宅の方:最初の1週間は週1回、その後は月1回を目安に、状態が変わったときは都度再評価
また、スコアが低かった項目には、個別のケアを重点的に行うことが予防につながります。
評価だけで終わらせない「つながるケア」が大事!
ブレーデンスケールは点数をつけるだけの道具ではありません。「評価 → ケアの実施」までつなげてこそ意味があります。
例えば:
皮膚が湿っている場合:おむつ交換や保湿、吸水パッドの見直し
動けない場合:体位変換やリハビリの導入
栄養が不十分な場合:栄養サポートチーム(NST)との連携
摩擦やずれがある場合:体位保持クッションやスライディングシートの使用 など
最後に:褥瘡予防は「気づき」がすべて
褥瘡は、気づいたときにはもうできていた…というケースも少なくありません。だからこそ、「もしかしてリスクがあるかも」と感じたら、早めに評価して対策を始めることが大切です。
ブレーデンスケールのようなツールを活用することで、「なんとなく不安」→「数字でハッキリ見える」ようになり、チームみんなでリスクを共有して、早めに・確実にケアを届けることができます。
関連情報・学習コンテンツ
📚 参考文献
日本褥瘡学会『褥瘡予防・管理ガイドライン(第4版)』照林社
真田弘美 編『褥瘡ケア完全ガイド』学研
Barbara Braden, Nancy Bergstrom: Braden Scale for Predicting Pressure Sore Risk
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