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SGLT2阻害薬とは? 〜糖尿病治療の新たなスタンダード〜

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 7月4日
  • 読了時間: 3分

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糖尿病治療薬の中でも、ここ数年で注目を集めているのが SGLT2阻害薬 です。

血糖値を下げるだけでなく、心臓や腎臓への保護作用も実証されており、「単なる血糖降下薬」にとどまらない多機能な薬剤として、医療現場で広く用いられています。

🔍 SGLT2阻害薬とは?

SGLT2阻害薬(Sodium-Glucose Cotransporter 2 Inhibitor)は、腎臓での「糖の再吸収」を阻害することで、余分な糖を尿中に排泄し、血糖値を下げる作用があります。

1日に約60〜100g、カロリー換算で240〜400kcalの糖を排出することで、体重減少効果も期待されます。

代表的な薬剤名:

  • 単剤:ジャディアンス®(エンパグリフロジン)、フォシーガ®(ダパグリフロジン)など

  • 配合剤:カナリア配合錠®(カナグル®+テネリア®)、トラディアンス配合錠®(ジャディアンス®+トラゼンタ®)

⚠️ 使用時の注意点

SGLT2阻害薬は非常に優れた薬ですが、服用に際しては以下の点に注意が必要です。

✅ 感染症リスク

尿に糖が含まれるため、膀胱炎や外陰部の感染症が起こりやすくなります。特に女性では尿道が短いため注意が必要です。排尿後や入浴時の清潔ケアを意識しましょう。

✅ 脱水に注意

尿量が増えるため、水分補給が欠かせません。ただし、ジュースやスポーツドリンクでは逆効果。水やお茶で補うことが大切です。

✅ シックデイ(体調不良時)は休薬

発熱や嘔吐、食欲不振などの「シックデイ」には、**ケトアシドーシス(重篤な代謝異常)**のリスクが高まるため、休薬が原則です。体調が回復するまで一時的に中止する判断が必要です。

👥 どんな人に向いている薬?

糖尿病のタイプによって、SGLT2阻害薬の有効性やリスクは異なります。

◎ インスリン抵抗性タイプ(肥満傾向の2型糖尿病)

  • インスリンは出ているが、効きづらいタイプ

  • SGLT2阻害薬の第一選択薬に近い

△ インスリン分泌不全タイプ(やせ型・高齢者)

  • もともとインスリン分泌が少ない

  • ケトアシドーシスのリスクあり、慎重投与が必要

  • 場合によっては他剤(SU薬、DPP-4阻害薬、インスリン等)との併用で対応

💡 実は心臓と腎臓にも良い影響!

最近の研究で、SGLT2阻害薬は糖尿病患者だけでなく、心不全や慢性腎臓病の患者さんにも恩恵があることがわかってきました。

📊 心臓病の発生率を下げる

SGLT2阻害薬を服用しているグループでは、心不全や心血管イベントの発生率が明確に低下することが報告されています。

(出典:NEJM 2020

📉 腎機能の低下を防ぐ

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初期には一時的な腎機能低下が見られるものの、長期的には腎機能の悪化を抑制し、透析のリスクを低下させる可能性が示されています。

(出典:BJD 2021

⚠️ 自費診療での使用には慎重に

一部の自由診療クリニックでは、ダイエット目的でSGLT2阻害薬を処方するケースがありますが、医療的なリスク評価が不十分なまま投与されることもあり得ます

SGLT2阻害薬はあくまで、糖尿病や心腎機能障害を背景に医学的根拠をもって処方されるべき薬剤です。

📝 まとめ

ポイント

内容

✔ 血糖を尿から排出し血糖値を下げる

尿糖排泄型の血糖降下作用

✔ 心臓・腎臓を守る効果

心不全・CKDの進行予防

✔ 感染症・脱水・シックデイに注意

清潔・水分・体調管理が重要

✔ インスリン分泌不全タイプには慎重投与

合併症リスクがあるため配慮を


 
 
 

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