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看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する34~エコーで見る内シャント観察のポイント

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 9月18日
  • 読了時間: 2分

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透析患者さんのシャント管理において、エコー(超音波検査)は欠かせないツールです。シャント機能や形態を把握することで、トラブルを早期に発見し、適切な対応につなげることができます。今回は「血流量測定」「血管抵抗指数」「シャント形態評価」の観点から、エコーでの観察ポイントを整理します。

1. 機能評価

① 上腕動脈血流量測定

  • 測定部位:肘から7〜8cm中枢側の上腕動脈

  • 算出方法:血流量(mL/分)=TAV(cm/秒)× 断面積(cm²)× 60(秒)

ここで重要なのが TAV(時間平均血流速度) です。パルスドプラ法で得られる血流波形をオートトレースし、1心拍分を平均化して求めます。

  • TAVは過大評価のリスクが少なく、信頼性が高い

  • オートトレース機能が必須

※断面積の算出は血管径のわずかな測定誤差が大きく影響するため、正確な直径測定が求められます。

② 血管抵抗指数(RI)

RIは血流量測定時に自動で算出されます。動脈の血流抵抗を反映し、狭窄や流出路の状態を把握する際に有用です。

2. シャント形態評価

① 全体像の把握

  • 短軸走査で上腕動脈から末梢へ → 石灰化や狭窄を確認

  • 吻合部まで到達したら → 今度は末梢から中枢へ移動し、シャント静脈を描出

  • 分岐や合流を含めて、シャントの全体構造を俯瞰

② 分岐と合流の評価

  • 短軸像で「1本→2本=分岐」「2本→1本=合流」と判断

  • 特に血流方向と形態を意識しながら観察

③ 吻合部の描出

  • 初めは難しいが、吻合角度と深さを意識すると描出しやすい

  • 撓骨動脈と撓側皮静脈を同一画面に収めることを目標に

④ 狭窄の評価

  • 短軸走査で血管径が急に細くなる部位をチェック

  • 長軸像で狭窄長や血管壁の状態(内膜肥厚・石灰化・弁肥厚など)を確認

まとめ

エコーによるシャント評価では、機能(血流量・RI) と 形態(吻合部・分岐・狭窄) を系統的に確認することが重要です。

  • 血流量は TAV+断面積 で算出

  • シャント全体像を 短軸と長軸を組み合わせて観察

  • 狭窄や血管壁の異常は早期に発見

現場でのルーチン化により、合併症の予防と透析の安定につながります。

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