アムロジピンの意外な副作用 ― 処方カスケードを防ぐために
- 賢一 内田
- 12 時間前
- 読了時間: 2分

高血圧治療において最もよく使用される降圧薬のひとつ、アムロジピン(商品名:アムロジン、ノルバスク)。しかし、その「使いやすさ」と引き換えに、見落とされがちな副作用がいくつか存在します。これらを知らずに対処しようとすると、別の薬を追加してしまう「処方カスケード」につながってしまうことがあります。
① 胃食道逆流症(GERD)の悪化
アムロジピンは血管だけでなく、下部食道括約筋まで緩めてしまうことがあります。このため、**GERD(胃食道逆流症)を悪化させることがあり、特にアムロジピンでは61.3%**と高率です(参考:ジルチアゼムでは12.5%)。PPI(プロトンポンプ阻害薬)で対応してしまうと、まさに処方カスケードです。
💡対策:GERDのある患者さんでは、アムロジピン以外の降圧薬を検討するのが望ましいでしょう。
② 浮腫(むくみ)
アムロジピンの代表的な副作用のひとつが足の浮腫です。長期投与でリスクが高まり、特に高齢者では顕著になります。
💡対策:
シルニジピン(商品名:アテレック)など浮腫が起こりにくいカルシウム拮抗薬へ変更
または、ACE阻害薬・ARBなど別の系統の降圧薬への切り替え
※ここでも、むくみに利尿薬(特にループ利尿薬)を追加するのは処方カスケードに要注意です。
③ 頻尿・夜間頻尿
アムロジピンは、夜間頻尿や尿意切迫感を引き起こすことがあります。これもまた、別の薬(頻尿治療薬など)を追加してしまいやすいポイントです。
💡対策:頻尿が出現したら、降圧薬との関連性をまず疑いましょう。
まとめ:薬の「副作用」に薬を足さないために
GERD、浮腫、頻尿……。これらの症状がみられたとき、「高齢だから仕方ない」と片付けてしまう前に、「アムロジピンの副作用では?」と立ち止まって考えることが大切です。
薬を増やさず、原因となっている薬を見直す。それが、処方カスケードを防ぐ第一歩です。
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