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がん治療後の食欲不振と倦怠感に悩んだ男性に、漢方が奏功した例

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 7月11日
  • 読了時間: 2分
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がん治療後の食欲不振や倦怠感に悩まされる方は少なくありません。今回ご紹介するのは、肺扁平上皮がん術後再発と**早期食道がん(ESD後)**の治療歴をもつ60代男性のケースです。

■ がん治療後も続く、原因不明の食欲不振と倦怠感

この方は、肺がん再発に対して化学放射線療法(CCRT)と免疫チェックポイント阻害剤による治療を受け、その後は再発なく経過。しかし、2024年初頭より食欲不振と倦怠感が持続し、検査を繰り返しても明確な原因が見つからない状態が続いていました。

高カロリー栄養補助飲料のエンシュアを活用しながら、**エドルミズ(グレリン様作用薬)やステロイド(デカドロン)**などを試しましたが、効果は一時的。また、食後に頭から汗が噴き出すといった自律神経系の症状もみられました。

■ 「男性更年期」の可能性と漢方薬の試験的導入

明らかながんの再燃はなく、症状の訴えは「なんとなく疲れる」「元気が出ない」「動悸がある」といった曖昧なものが多く、**いわゆる「男性更年期(LOH症候群)」**の可能性も考慮されました。

そこで試験的に処方されたのが**「加味逍遥散(かみしょうようさん)」**という漢方薬。女性の更年期だけでなく、男性にも使われることがある処方です。

この加味逍遥散が驚くほど奏功し、**「頭がすっきりする」「気持ちが落ち着く」「食事が摂れるようになった」**などの改善がみられました。

■ がんの経過とともに心身を支える医療の大切さ

がん治療後の生活では、「がんそのもの」だけでなく、体力の回復や精神的な不調、内分泌や自律神経のバランスも大きく影響します。この方のように、定期的な補液や食事指導に加え、漢方薬など多角的なアプローチを取り入れることで、生活の質を支えることができます。

🔍 医師のコメントがん治療後の長期経過において、「なんとなく元気が出ない」「食欲がない」という症状は非常に多くみられます。検査で異常がなくても、背景にある更年期様変化や精神的な要素を見逃さず、患者さんに合った治療法を模索することが大切です。

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