【解説】頚肩部痛へのHydrorelease(ハイドロリリース)治療
- 賢一 内田
- 5月24日
- 読了時間: 2分

【解説】頚肩部痛へのHydrorelease(ハイドロリリース)治療
―「四十肩・五十肩」の誤解と神経根症の診かた―
❌ 「四十肩・五十肩」という言葉は使うべきではない
医師が「四十肩」「五十肩」という表現を使うと、かえって患者さんにとって不利益になることがあります。これは、曖昧な診断名が適切な治療介入の機会を遅らせてしまうためです。
肩の痛みがあるときは、原因が「肩」なのか「首」なのか、まず正しく評価することが重要です。
✅ 肩か首か? 簡単な見分け方
腕を動かすと痛い → 肩関節由来
首を動かして肩が痛い → 頚椎由来(神経根症など)
この判断は診断と治療の第一歩です。
📋 代表的な身体所見と臨床判断ポイント
Spurlingテスト頚椎性神経根症の評価に有用。→ 感度95%、特異度94%
Shoulder Abduction Relief Sign(SARS)手を頭の上に置くと症状が軽くなるサイン。→ C6神経根症に特徴的ですが、C7でも陽性になることがあります。
💉 Hydrorelease(ハイドロリリース)の臨床応用
SAB注射で改善しない肩痛 → 三角筋と棘下筋の間のfasciaにHydrorelease
首が回らない症状 → 僧帽筋と肩甲挙筋の間のfasciaにHydroreleaseで可動性改善が得られることも
📚 頚部神経根症の基礎知識
好発年齢: 50~60代(男性に多い)
原因: 変形性脊椎症(約68%) 椎間板ヘルニア(約22%)
自然経過: 88%が1ヶ月以内に自然軽快 4〜5年後、90%が無症状または軽度 再発率:12.5%(1〜2年以内)
🧠 治療と超音波ガイド下神経根ブロック
注射のランドマーク:頸椎横突起(U字型)
C7:前結節なし
C4〜C6:下へ行くほど神経根が太くなり、結節間溝が広くなる
C6:神経根の分岐が速い
C7:隣接する椎骨動脈に注意
基本原則:神経根には直接刺さず、局所麻酔薬で包むように注入
🧠 頻度と障害神経根の分布
神経根 | 頻度(%) |
C5 | 2–6.6 |
C6 | 17–19 |
C7 | 46–69 |
C8 | 6–10 |
→ C6〜C7で全体の約8割を占める
背部痛の部位と神経根 肩甲棘上部:C5・C6、肩甲棘下部:C7・C8
放散痛の部位と神経根 母指:C6、中指:C7、小指:C8
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