在宅医療における「プラリア®(デノスマブ)」使用の是非について
- 賢一 内田
- 6 分前
- 読了時間: 3分

骨粗鬆症の新しい治療薬として注目されている「プラリア®(一般名:デノスマブ)」。RANKLというタンパク質の働きを抑えることで破骨細胞の活性化を防ぎ、骨の吸収を抑える仕組みを持つ薬です。半年に1回の皮下注射で済むという手軽さもあり、骨粗鬆症治療ガイドラインでも高く評価(推奨グレードA)されています。
このように、非常に効果が高く、優れた薬であることは間違いありません。
しかし、在宅医療という現場においては、必ずしも“良い薬=使うべき薬”とはなりません。
カルシウム低下(低Ca血症)という副作用のリスク
プラリアの効果が高い一方で、**副作用として最も注意すべきは「低カルシウム血症」**です。血液中のカルシウムが極端に低下すると、しびれ・筋けいれん・意識障害など多彩な症状を引き起こし、放置すれば命に関わることもあります。
低Ca血症は投与後7日以内に発現することが多く、この間の頻回な観察や血液検査によるモニタリングが必要です。
しかしながら、在宅医療の現場では、外来や病棟のようにこまめな採血やモニタリングが難しく、安全に管理することが極めて困難であると私たちは考えています。
「害と知る治療法は選ばない」──ヒポクラテスの教えを今に
医学の祖・ヒポクラテスは、「自身の判断と能力に従って患者にとって有益な治療法を選び、害と知る治療法は選ばない」と述べています。
私たちの在宅医療チームもこの姿勢を大切にしています。いくらガイドラインで推奨されている薬であっても、**在宅で安全に使えないのであれば、それは“害となりうる治療”**とみなさざるを得ません。
そのため当院では、現在プラリアの在宅使用は原則として行っておりません。
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