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創傷ケア(スキン テア、褥瘡、下肢潰瘍)を科学する16~【褥瘡ケアの基本】急性期に滲出液が多い場合と壊死組織への対応

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 6月24日
  • 読了時間: 2分

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〜材料と外用剤の選び方を症例から学ぶ〜

急性期の褥瘡では、炎症や組織破壊が進行しやすく、滲出液量や壊死組織の有無に応じた迅速かつ適切な対応が求められます。今回は、「滲出液が多い場合」と「硬い壊死組織がある場合」の2つのケースに焦点を当てて解説します。

💧Case 1:滲出液が中等量~多い急性期褥瘡

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✅ 適切なドレッシング材

ポリウレタンフォーム/ソフトシリコンタイプ

💡選択理由

  • 吸水性に優れたポリウレタンフォームは、中等量~多量の滲出液をしっかりと吸収可能

  • ソフトシリコン付きタイプは剥離時の皮膚損傷や痛みを最小限に抑えられ、高齢者や脆弱な皮膚にも安心

  • 創の形状にフィットしやすく、ずれにくいため、適切な湿潤環境の維持にも効果的

※ポリウレタンフィルムやハイドロコロイドは滲出液量が少ない創に適します。

⚫️Case 2:壊死組織がある創(例:評価DU-e1-s6-i1-g0-n6-p0)

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部位:大転子部(お尻の外側)サイズ:5×4cm、滲出液:中等量~多量、軽度の熱感あり

✅ 適切な外用剤(2つ)

  • ブロメライン軟膏

  • ポビドンヨードシュガー製剤

💡選択理由

  • ブロメライン:タンパク質分解酵素であり、硬い壊死組織(黒色壊死など)を酵素的に軟化・除去

  • ポビドンヨードシュガー:抗菌作用に加えて、糖分による浸透圧で壊死組織を軟化し除去を促進。さらに抗炎症作用と感染制御にも有効

※壊死が強い(N6)段階では、トラフェルミンやトレチノインは適応外となるため注意が必要です。

📌まとめ:急性期褥瘡で押さえるポイント

評価・状態

選ぶべき対処法

理由

滲出液中等量~多量

ポリウレタンフォーム+ソフトシリコン

高吸収+皮膚保護

硬い壊死組織あり

ブロメライン、ポビドンヨードシュガー

壊死の酵素分解+感染制御/湿潤環境

急性期褥瘡は、「滲出液の量・壊死組織の有無・炎症の強さ」を的確に評価し、組み合わせで対応していくことが大切です。現場で使用可能な資材をリスト化し、ケアスタッフ全体で共通理解を持つことも、褥瘡予防・治癒促進に欠かせません。

 
 
 

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