利尿剤を“痩せ薬”?脱水を見逃さない高齢者医療の視点
- 賢一 内田
- 5月7日
- 読了時間: 2分

以前勤めていた病院の看護師さんから、「母が“痩せ薬”として飲んでいたのが、実は利尿剤だった」という、笑えないエピソードを聞いたことがあります。また、ボクサーが試合前の計量に向けてサウナで水分を絞り切るのは有名な話ですが、脱水との戦いは、何もスポーツの世界だけではありません。
高齢者医療の現場では、脱水症は極めて日常的な課題です。夏場の熱中症対策としてクーラーの使用が一般的になってきた一方で、冬場の暖房による脱水も、高齢者医療ではよく見受けられます。
乾いた口は脱水のサイン?
脱水の評価として「口腔内乾燥」(舌の乾燥や縦じわ)は感度が高く、重要な観察ポイントです。ただしこれは口呼吸でも起こり得るため、「口が乾いている=必ず脱水」とは言えません。逆に「口腔内が湿潤していれば、脱水ではない」と言えるほど特異度は高い所見でもあります。
加えて、腋窩(わき)の乾燥は特異度が高い所見として注目されています。ただし、眼窩(がんか)の乾燥まで見られるケースはかなり稀です。
在宅医療では、脱水評価にポケットエコーが便利!
病院では採血によって脱水の評価が簡単にできますが、在宅では結果が翌日になるため、その場の判断が難しいという課題があります。
そこで非常に有用なのが、ポケットエコーです。具体的には、下大静脈(IVC)の径を測定することで脱水状態を評価します。IVCは大動脈のすぐ横にあり、エコーで簡単に描出可能。慣れれば30秒程度で評価が完了するため、在宅・施設医療での活用が今後ますます広がることが期待されます。
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