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逗子、葉山、鎌倉、横須賀、横浜市金沢区の在宅医療

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看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する55~血行動態の評価:IVC(下大静脈)の観察ポイント
① IVCの太さから循環状態を読み解く 下大静脈(IVC:Inferior Vena Cava)の観察は、 うっ血性心不全のスクリーニング に有用です。IVCは右房圧を反映する血管であり、呼吸に合わせて径が変化します。吸気時には陰圧により血液が右房に引き込まれ、径が細くなり、呼気時には膨らみます。 この呼吸性変動が小さい、あるいは消失している場合には、右房圧上昇=うっ血を疑います。循環動態が不安定な患者では、まずこのIVCの動きを確認することが重要です。 ② 測定方法:右房入口から約2cmの位置で IVC径は**吸気時(最小径) と 呼気時(最大径)**を測定します。図のように、肝臓をランドマークとして右房入口部から約2cmの位置で計測します(図8参照)。 基本的には 長軸像 での観察が推奨されますが、描出が難しい場合には 短軸像 での確認も可能です。このとき、右房との連続性を意識しながら、径の変化を観察しましょう。 ③ 評価の目安:うっ血 or 脱水のサイン IVC径と呼吸性変動 推定される状態 20mm以下で呼吸性変動あり 正常 20mm以上
11月8日読了時間: 2分


在宅医療における認知症について59~認知症の基本的対応③
〜外出の機会が乏しいときはデイサービスを活用する〜 認知症の進行を遅らせるために最も効果的なのは、**「家に閉じこもらないこと」**です。特に仕事や社会活動が少なくなっている方は、**デイサービス(通所介護)**の利用を積極的に検討しましょう。 1. デイサービスは「治療の一環」 英国の医療ガイドライン(NICE:National Institute for Health and Care Excellence)では、軽度〜中等度の認知症の方に対して、 「構造化された集団認知刺激療法(Cognitive Stimulation Therapy)」への参加 を推奨しています。 これは、日本でいう「デイサービス」で実践されている内容に近く、 “社会的交流を通じて脳を刺激する”非薬物療法 として科学的に裏づけられています。 2. デイサービスの効果 🔹 抗認知症薬との比較 国内の臨床試験(ガランタミン・メマンチンなど)の解析では、 介護サービスを利用している集団のほうが、利用していない集団よりも症状改善の割合が高い という結果が得られています。...
11月7日読了時間: 4分


在宅医療における認知症について58~認知症の基本的対応②
〜火の不始末への早期対応と社会的活動の継続〜 認知症が進行すると、本人だけでなく家族・近隣の安全にも関わるリスクが生じます。その代表が「 火の不始末 」です。一方で、認知症の人が長年続けてきた 仕事や社会的活動を早く手放すこと は、心身の衰えを早める要因にもなります。ここでは、 安全確保と活動維持を両立させる実践的なポイント を紹介します。 1. 火の不始末 ― 「一度焦がしたらもう危険信号」 🔥 なぜ早めの対応が必要か 火の不始末は、本人だけでなく 周囲を巻き込む重大事故 につながります。特に 独居高齢者 の場合、近隣トラブルや施設入所を迫られる理由になることも少なくありません。そのため、 早期から安全対策を取ることが鉄則 です。 👀 チェックすべきポイント まずは日常の中で、次のようなサインがないか確認しましょう。 鍋ややかんが焦げていないか 仏壇のろうそくが安全に使われているか 畳やこたつに タバコの焼け跡 がないか 壁や天井に 煙跡・スス汚れ がないか こうした「小さな異変」が、火災リスクの初期サインになります。 🧯 現実的な安全対
11月6日読了時間: 4分


在宅医療における認知症について57~認知症への基本的対応
〜安全と尊厳を両立させるために最初に行うこと〜 認知症が疑われた場合、まず行うべきことは**「原因を見極める」こと**です。その上で、日常生活を安全に、そしてできるだけ自立的に過ごすための対応を整えていきます。 1. まず除外すべきこと 認知症のように見えても、 内科疾患や脳外科疾患 が原因のことがあります。甲状腺機能低下症、ビタミン欠乏、脳梗塞、正常圧水頭症など——いずれも治療可能な場合があります。 また、**薬の副作用による「薬剤性認知機能低下」**も少なくありません。睡眠薬、抗不安薬、抗コリン薬などが原因のこともあり、「一度減薬して様子を見る」ことが重要です。 これらの除外が済み、「認知症性疾患」として確からしい場合、次に行うのが 基本的対応 です。 2. 対応の優先順位 認知症の方への対応の原則は、次の5つのステップに整理できます。 1️⃣ 危険動作をやめてもらう 2️⃣ 仕事や社会的活動をできるだけ長く続けてもらう 3️⃣ 外出機会が乏しい場合はデイサービスなどを活用する 4️⃣ 家庭内では「失敗体験」をさせない 5️⃣ できる範囲で家
11月5日読了時間: 4分


在宅医療における認知症について56~抗精神病薬 ― 用法・用量と中止のタイミング
〜「できるだけ少なく・できるだけ短く」が原則〜 抗精神病薬は、認知症のBPSD(行動・心理症状)に対して確実な効果がある一方、死亡率を含む重大な副作用リスクがある薬です。そのため、「 できるだけ少ない量を、できるだけ短期間だけ使う 」ことが大原則です。 1. 用法・用量 ― 少量・短期使用を徹底する 抗精神病薬を処方する際は、 最小限の用量から始め、必要があれば段階的に調整 します。 🔹 リスペリドン(欧州での認可基準・日本では未承認) 欧州では、アルツハイマー型認知症に伴う持続的な攻撃性に対してのみ、短期間の使用が認められています。 開始:0.25mgを1日2回 必要に応じて2日に1回の頻度で0.25mgずつ増量 通常至適用量:0.5mg 1日2回 最大でも:1mg 1日2回 使用期間は6週間以内に限定 日本ではBPSDに対して正式に承認されていません。このため、「リスペリドンを推奨する」という意味ではなく、あくまで**“短期・少量”の目安として参考にする**という位置づけです。 なお、 クエチアピンとオランザピン は日本国内において 糖尿病
11月4日読了時間: 4分


在宅医療における認知症について55~抗精神病薬 ― 効果と危険性をどう見極めるか
〜BPSD(認知症の行動・心理症状)への最終手段〜 BPSD(認知症に伴う興奮・幻覚・妄想など)は、時に介護者の努力だけでは対応しきれないことがあります。そのようなとき、医師が最後の手段として検討するのが 抗精神病薬 です。 しかしこの薬は、確かに「効く」一方で、 命に関わる副作用のリスクもある 。ここでは、その効果と危険性、そして「使うべきかどうか」を考える視点を解説します。 1. 効果とリスクのバランス 非定型抗精神病薬(リスペリドン、オランザピン、クエチアピンなど)は、BPSDのうち特に 興奮・暴言・幻覚・妄想 に対して効果があることが、複数の臨床試験で確認されています。 一方で、そのレビュー(系統的解析)では次のような 有害事象の増加 が報告されています: 眠気・過鎮静 錐体外路症状(手足の震え、筋硬直など) 脳血管障害(脳梗塞など) 尿路感染症、浮腫、歩行障害 死亡リスクの上昇 つまり、「効くけれど危険性も高い」。抑肝散やトラゾドンよりも確実に症状を抑える効果がありますが、その代償として 副作用のリスクが格段に高い のです。 2. FD
11月3日読了時間: 4分


在宅医療における認知症について54~トラゾドン ― 認知症の不眠に対して「唯一の科学的根拠がある薬」
〜ベンゾ系は使ってはいけない、トラゾドンが第一選択〜 同居家族を睡眠不足に追い込むほど厄介なのが、**認知症の人の夜間不眠(睡眠障害)**です。夜中に何度も起きて歩き回る、叫ぶ、昼夜逆転する——こうしたBPSDは、介護者の消耗を大きくし、施設入所や入院を余儀なくされる大きな要因になります。 ベンゾジアゼピン系睡眠薬は使ってはいけない 従来、睡眠障害に対して多く使われてきたのが ベンゾジアゼピン受容体作動薬(BZD系) 。しかし、最新の系統的レビューでは、BZD系の睡眠薬に関して 認知症患者を対象としたプラセボ対照二重盲検試験が1件も存在しない ことが報告されています。 しかも、BZD系薬剤には以下の副作用リスクが 科学的に確立 しています: 認知機能の低下 せん妄の誘発 転倒・骨折のリスク増加 したがって、 認知症の人の睡眠障害にBZD系を使うべきではありません 。 トラゾドンだけがプラセボを上回った 同レビューによると、これまで臨床試験が行われたのは メラトニン、ラメルテオン、トラゾドン の3剤のみ。 メラトニン → 無効 ラメルテオン → 無
11月2日読了時間: 4分


在宅医療における認知症について53~抑肝散・トラゾドン・抗精神病薬の使い分け
〜BPSDに対する薬物療法の位置づけ〜 前回家族・介護環境の調整」では、まず非薬物的介入(介護者の関わり方や環境調整) を重視すべきことをお伝えしました。それでもなお、興奮や暴言・幻覚などの BPSD(行動・心理症状)**が強く、生活に支障を来す場合に初めて薬物療法を検討します。 抑肝散 ― 易怒・興奮・幻覚への漢方的アプローチ 1. どんなときに使う? 抑肝散は、認知症に伴う 怒りっぽさ・興奮・暴言・暴力 などの症状に効果があるとされる漢方薬です。 2. 効果のエビデンス 複数の無作為化比較試験(RCT)の系統的レビューでは、プラセボ(偽薬)に比べてBPSDの改善がみられたとの報告があります。特に、 妄想・幻覚・焦燥・攻撃性 に対して有効とされました。一方で、**認知機能(MMSEスコア)**の改善効果は認められませんでした。 唯一の二重盲検試験(信頼性が高い試験)では、アルツハイマー型認知症に対して 抑肝散とプラセボの間に有意差は認められません でした。安全性は良好でしたが、科学的には「効くとも言えない」という結論です。 3. 使用時の注意点
11月1日読了時間: 4分


看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する54~在宅でできる「水分貯留と心機能」の評価
〜心嚢液・胸水・LVEF・IVCの観察ポイント〜 ① 水分貯留の評価 ― 心嚢液と胸水を見分ける 在宅医療で心不全を診るうえで重要なのが、**体内の水分貯留(うっ血)**を把握することです。心臓の周囲や胸腔内に液体がたまると、呼吸苦や倦怠感の原因になります。 心嚢液 は心臓を包む膜(心嚢)の内側に貯留し、**心窩部断面(みぞおち方向からのアプローチ)**で観察できます。エコー上では液体成分のため、 黒く抜けた無エコー域 として描出されます。同様に、 胸水 も胸腔内にたまる液体で、心嚢液と同じく黒い無エコー像として観察されます。 少量の心嚢液は経過観察で済むことが多いですが、**心嚢液が多量に貯留して心臓を圧迫する(心タンポナーデ)**場合は緊急対応が必要になります。 ② 心収縮機能の評価 ― LVEF(左室駆出率) 心臓のポンプ機能を示す最も代表的な指標が、**LVEF(Left Ventricular Ejection Fraction:左室駆出率)**です。 LVEFは、心臓が拡張して最も大きくなったときの左室内径(拡張末期径)と、収縮して最
10月31日読了時間: 3分


看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する53~在宅医療で活かす「心エコー」
〜プローブの当て方と観察の基本〜 ① 患者の体位とアプローチ方法 心エコー検査では、 左側臥位または左半側臥位 が基本です。胸骨左縁の 第3〜第4肋間 から観察すると、心臓の構造を最も明瞭に描出できます。 しかし、在宅医療の現場では、 体位変換が難しい 高齢で心臓の位置が下がっている 肺気腫などを合併している といったケースも多く見られます。そのような場合には、 仰臥位のまま心窩部(みぞおち)から観察する ことが有効です。 この「胸骨左縁」と「心窩部」からの2か所のアプローチで、 短時間・低負担で基本的な心機能評価 が可能になります。 ② 使用する装置とプローブ 成人の心エコーでは、 1〜5MHz程度のセクタ型プローブ が標準的です。視野が広く、肋骨の間から心臓全体をとらえることができます。一方、 心窩部からの観察 では、 コンベックス型プローブ でも代用可能です。最近の携帯型エコーには、これらの機能が一体化されており、在宅でも実用的です。 ③ 観察法①:胸骨左縁から心臓全体を描出(左室長軸像) プローブの位置 は胸骨左縁の第3〜4肋間。 マーカ
10月30日読了時間: 3分
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