top of page
逗子、葉山、鎌倉、横須賀、横浜市金沢区の在宅医療

神奈川県逗子市桜山2-2-54
TEL 046-874-9475
FAX 050-3145-2736
平日9時~17時
検索


看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する51~エコーで腹水量を推定する方法
〜体腔液の性状と臨床判断のポイント〜 ① 腹水量の目安をエコーで評価する 腹水がどの程度たまっているのかを知ることは、治療方針を立てるうえで非常に重要です。CTなどの精密検査ができない場面でも、 エコー(超音波)を用いた簡便な腹水量推定法 が考案されています。 この方法では、 腹水の分布と厚み を基準に概ねの貯留量を推定します。 腹水の分布 推定量(mL) モリソン窩や脾腎境界のみ 約150mL ダグラス窩または膀胱上窩のみ 約400mL 左横隔膜下にわずかに貯留 約600〜800mL 両側傍結腸溝(左右結腸腹側)にも貯留 約1,000〜1,500mL 右横隔膜下に厚み1.0cm 約2,000mL 右横隔膜下に厚み2.0cm 約3,000mL ※仰臥位・体重50kgの成人を標準とした推定値(文献8より引用) このように、**液体の「分布範囲」と「厚み」**を観察することで、体腔全体の腹水量をある程度把握できます。 ② 貯留液の性状を観察する 胸水や腹水は、通常は**漿液性(透明な液体) で、エコー上は 無エコー域(黒く抜けた領域)**として描出さ
10月28日読了時間: 3分


看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する50~胸水・腹水をエコーで観察する ― 横隔膜を中心にしたアプローチ法
1. 横隔膜を境に「胸水」と「腹水」を見分ける 胸水や腹水を観察する際、まず注目すべきは 横隔膜 です。横隔膜は、胸腔と腹腔を分ける“仕切り”のような構造であり、液体がどちら側にあるかで病態の判断が変わります。 エコーでは、肋間から両側を走査します。 右側 :肝臓(右葉)を目標に走査 左側 :脾臓を目標に走査 横隔膜の 頭側(上側)に液体が見えれば胸水 、 尾側(下側)であれば腹水 と判断します。右肋間走査では、少し尾側にずらして**モリソン窩(肝と右腎の間)**の観察も行います。 さらに、下腹部の 正中縦断走査でダグラス窩 を観察。上腹部正中では 肝左葉周囲と心嚢液の有無 も確認します。最後に、 左右の傍結腸溝 もチェックしておくと、腹水の分布をより正確に把握できます。 2. 短時間で液体貯留を確認する「FAST」法 エコーによる胸水・腹水の検索では、**FAST(Focused Assessment with Sonography for Trauma)**という考え方が参考になります。 もともとは外傷初療で 体幹部出血を迅速に評価するための
10月27日読了時間: 3分


看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する49~エコーでアプローチする胸腔・腹腔の基礎知識
〜胸水・腹水の「たまりやすい場所」を理解する〜 胸腔と腹腔の構造 胸腔は、 肺の表面を覆う臓側胸膜 と、 胸郭内側を覆う壁側胸膜 の間にある空間です。ここに液体がたまると「胸水」と呼ばれます。少量の胸水は 肺の底(横隔膜に近い背側)にたまり、次第に肺全体を取り囲むように広がります。量が増えると、肺を圧迫して呼吸苦や無気肺 を引き起こすこともあります。 一方、腹腔は 臓器の表面を覆う臓側腹膜 と 腹壁内側を覆う壁側腹膜 の間の空間で、ひとつながりの体腔です。臓器が入り組んでいるため、液体は特定の「たまりやすい場所(リセス)」に集まりやすく、以下のような部位が代表的です。 右横隔膜下腔(肝臓の上) モリソン窩(肝と右腎の間) 左右の傍結腸溝 ダグラス窩(骨盤底の最も低い部分) 仰臥位(あお向け)での液体貯留部位 患者さんが仰臥位になると、液体は 重力により最も低い位置 に集まります。胸腔では 横隔膜上部の肺底部背側 、腹腔では ダグラス窩 → 横隔膜下 → モリソン窩 の順に貯留しやすいとされています。そのため、これらの部位を意識して走査することで、
10月26日読了時間: 3分
bottom of page