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【注意喚起】エルデカルシトール処方時に見落としてはならないポイント

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 5 日前
  • 読了時間: 2分

高カルシウム血症のリスクと対策を在宅医の立場から考える

最近、「エルデカルシトールによる高カルシウム血症と血液検査の遵守について」という文書が配布されました。この背景には、おそらく実臨床での高カルシウム血症の報告が多数にのぼり、臨床上の問題となっている現状があると推察されます。

🔍 エルデカルシトールとは?

エルデカルシトールは、活性型ビタミンD₃製剤の一つで、骨粗鬆症治療薬として頻用されている薬剤です。同系統のアルファカルシドールやカルシトリオールに比べて、

  • 骨密度の上昇効果

  • 椎体骨折の予防効果

  • 転倒予防効果において優れており、非常に有用な薬剤です。

しかしその反面、高カルシウム血症を引き起こしやすいという側面も持ち合わせており、慎重な使用とモニタリングが求められます。

⚠️ 実際に経験した注意すべき症例と対策

食欲不振で紹介 → エルデカルシトール内服中

食欲がなくなった方がエルデカルシトールを継続していた場合、高カルシウム血症の疑いあり。➡ 早期に中止指示を。命に関わるリスクあり。

腎機能低下の高齢者に漫然投与

腎機能が低下していると、カルシウム排泄が低下し高Ca血症のリスクが上昇。➡ 処方前に腎機能を必ずチェック。加齢変化や夏場の脱水による悪化にも注意。

寝たきりの方に漫然処方

転倒のリスクがほぼない方に対し、骨粗鬆症治療の優先度は低い。➡ 治療の適応を個別に見直すことが重要。

長期間、血液検査未実施のまま処方継続

家族が薬だけを取りに行くケースで、モニタリングがされていないことも。➡ 最低でも3~6ヶ月に1回の血清カルシウム測定を。

カルシウム製剤やPTH製剤との併用

サプリメント含め、カルシウム摂取が重なると高Ca血症のリスクがさらに増す。➡ 併用薬・サプリメントを確認。併用にはSERMやビスホスホネートが望ましい。

✅ まとめ:エルデカルシトールは「慎重投与」が大原則

骨粗鬆症は確かに重要な疾患ですが、エルデカルシトールは“サプリメント感覚”で気軽に処方すべき薬ではありません。特に高齢者や在宅患者では、水分摂取不足・腎機能低下・モニタリング困難などが重なるため、より一層の注意が必要です。

高カルシウム血症のリスクに目を配りながら、安全な骨粗鬆症治療を実践していきましょう。

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