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急変の前に対応するために

状態が悪いと連絡があり往診してみると、すでにショック状態になっていることがあります。ショック状態が放置されると、心肺停止状態になりいわゆる急変してしまいます。

急変していると、最大限の医療資源を投入したとしても、救命することは難しくなります。

急変時の対応も重要ですが、それよりも、そもそも急変させない(=急変の前に対応する)ことの方がより重要だと考えています。

ベテラン看護師の「この患者さんは悪くなりそうだ」という第六感は当たりやすく、周りにそのような方がいればいいですが、介護者が家族や施設職員であれば、そういったものに頼ることもできません。

高齢者は、感染症でも発熱しないことがあったり、解熱鎮痛薬を飲んでいて体温が上がらない方もいるので、体温だけをみていると見逃してしまいます。

また、脈拍を抑える薬を飲んでいたりすると、感染症なのに脈が速くならないこともあります。

低血圧やSpO2低下は頑張り切れなくなっているサインなので、その時に気づいても遅いです。

それでは、急変させないためにはどこに注目すれば良いのでしょうか?

敗血症、心不全、肺塞栓症などによる、予期しない院内死の典型的な経過です↓

これから分かることは、呼吸数の増加に注目することで異常に早期に気づくことができることです。呼吸で代償されるためSpO2は当てになりません(むしろSpO2は早期では上がりさえします)。病勢が進み、一般的な指標であるSpO2が90%以下になってから対応していては手遅れになってしまいます。

いつもみている介護者の「何となくおかしい」や「元気がない」、食事が摂れないなどが急変の前兆のこともあります。

今まで何ともなかった方が、ある瞬間から突然急変することはまれです。

急変の前には、必ず何らかのサインが出ているはずです。そのサインに気づくことができれば、急変の前に対応できます。そうすることで、救命できるかもしれません。

患者さんのわずかな変化に気づくことができるのは、日常的に接している介護者しかいません。

当院では介護者には、「呼吸がゼーゼーしていたり、いつもより反応が悪かったり、食事が摂れない場合はすぐに連絡してください」とお伝えしています。

写真は逗子在住山内明徳様撮影

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