インタビュー
消化器外科専門医として大学病院及び関連基幹病院にて臨床行ってきた朴先生の在宅医療への想いをインタビューさせて頂きました
インタビューアー(以下 イ)
朴先生が在宅診療において大切と思われていることは何ですか
朴先生)
在宅医療が行う医療は多岐にわたり、水虫の治療から、患者さんの病態によっては人工呼吸器の管理まで自宅で行う必要があります
そして、自身の消化器外科医として経験も在宅医療においては、自宅でのケアを含めた治療希望される患者様に役立つと考えています
イ)朴先生のこれまでの臨床経験において在宅診療を行う上での強みなどは、どんなところでしょうか
朴先生)例えば若い癌末期の患者さんなどは、疼痛コントロールに難渋することをしばしば経験します。代謝率も高く、そもそも高齢者など比べて体重も比較的維持されている場合が多いです。こうした際のオピオイドスイッチや、ほか薬剤の調整などは消化器がん診療で培った知識や経験が生きていることを実感しています。
今まで消化器がんを中心とした臨床をバックボーンにしながら、患者さんに寄り沿った診療行って頂いていますが病院での癌終末期医療と在宅での治療での違いはありますでしょうか
朴先生)ACP、患者決定支援、グリーフケアなど少しずつ癌終末期医療への認識は高まっていると感じています。これは、病院で行うか、自宅(施設)で行うかについては大きな差がないと感じています。ただし、こうした言葉にて人生の最期を迎える人の心の深淵に到達できるかはという問いに簡単には『Yes』とは言えないというのが実感です。しかし、緩和医療により症状が緩和され
『先生のおかげで苦しまずに逝けました』『自宅で最期まで看ることができるとは思っていませんでした』などの言葉の一つ一つの積み重ねが、在宅で人生の最期を診ることの解と考えて臨床行う日々です。癌終末期医療における医療を含めたケアにおいては病院と自宅(施設)での違いは、無いと考えます。最期の時間を自覚される患者さん、家族の問題は疼痛などに限局されるものでありません。とても心が揺らいでいます。この揺らぎを感じ、手助けするチャンスは在宅医療医に多く与えられると思っています。質問の答えになってますでしょうか(笑)
イ)在宅医療を行うにあたって朴先生が大切にされていることは何ですか?
病院での臨床は疾患を通して患者さんを診ていたなと感じています。 「消化器の病気を持っている患者さん」という視点です。
在宅診療では、診療中なのに、患者さんがテレビを見始めたり、煙草を吸ったり、とにかく自由にされていて、生活の空間にお邪魔している感覚です。「自宅」という空間では、患者さんは病気を意識していない!と感じることがあります。
ほとんどの方が「生活」をメインに考えているので、「診療」というより「ひとをみさせて頂く仕事」という感覚が大切だと在宅診療では感じています。それは患者さんばかりでなく、それを支える家族まで含めたケアができることが在宅医療医としての到達点と感じながら診療を行っています。
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