認知症の行動・心理症状(BPSD)に対して、漢方薬の抑肝散が効くことが知られており、私自身もよく処方しています。
自身の抑肝散処方で忘れられない症例は、頚椎症性脊髄症の患者さんで、手術前日にせん妄状態になった患者さんです。誰もが知る某有名企業の人事部長でリストラの断行している最中に文字も書けないくらいの症状増悪にて手術予定となりました。月曜日の手術予定で金曜日入院となりましたが、患者さんが前後不覚との報告にて土曜の夜に患者さんを診に行くと別人のようでした。その際に抑肝散を処方して、無理そうなら手術中止の判断で翌日病院へ行くと、元のきちんとした部長さんに戻ったおり、漢方薬の作用に処方した私が驚きました。そして抑肝散は高齢者の認知症における周辺症状(BPSD)によく処方されます。しかし、BPSDがあれば、なんでもかんでも抑肝散を処方すればよいわけではないので注意が必要です。
抑肝散は、BPSDの中でも、興奮、妄想、幻覚などの陽性症状に効果があり、うつ、食欲不振などの陰性症状には効果はありません(逆に陰性症状を悪化させることもあります)。また抑肝散が処方されていて食欲不振がある方には、まずは抑肝散を止めてみることにしています。抑肝散の効果判定は2~4週程度で行い、効果が感じられない場合は漫然と続けず、中止するべきです。
漢方薬だから安全なわけではなく、抑肝散には甘草が含まれているので、長期の内服で偽性アルドステロン症(低カリウム血症、四肢脱力、高血圧、浮腫)が生じる恐れがあります。
抑肝散を内服する80歳代の患者を対象とした報告で、低カリウム血症が約6%に発症しているというものもあり、カリウムの値は定期的にチェックしておく必要があります。
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逗子、葉山、横須賀、鎌倉を撮影される山内様の写真です
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