top of page

高齢者の皮膚のかゆみ~老人性掻痒症

更新日:2021年12月8日

高齢者の皮膚のかゆみはしばしば遭遇する問題です。とりわけ寒い時期なると症状が悪化します。年をとると、何故こうした症状が生じるのでしょうか。理由として高齢者は皮脂が少なく、容易に乾燥します。こうした症状に関しての

ポイントは皮脂を落とさないことです。外側から何か(外用薬など)を足すのではなく、引かないという考え方をします。

皮脂は皮膚を守るためにあります(正確には、皮脂が皮膚の角質表面をコーティングし水分の蒸発を防ぎ、また皮膚常在菌の生息環境を守ります)。

皮脂を落とす習慣はすべてやめてもらいます。

①入浴回数を減らす。 皮脂は水溶性のため、風呂に入る度に皮脂が洗い落とされてしまいます。具体的には入浴を週1回などにします。 ②石鹸、ボディーソープ、シャンプーは使わない。 石鹸、ボディーソープ、シャンプーは界面活性剤です。界面活性剤には乳化作用(洗浄力)があり、皮脂を落としてしまいます。弱酸性であっても、植物性であっても、無添加であっても、皮脂を落としてしまうことには変わりありません。種類の問題ではありません。

③ナイロンタオルは使わない。 体をナイロンタオルでこするのは皮脂を落とし、また皮膚を傷つけるので止めます。体をこすらなくても、湯船に浸かるだけで汚れは落ちます。私自身は、医学部4年生の時の授業でナイロンタオルを使用すること無意味さを授業で聞き、今日まで一度も使用してません。

④保湿クリームは使わない。 保湿クリームには合成界面活性剤が入っています。保湿クリームを塗ると、皮脂は落ちてしまい、逆に皮膚は乾燥します。保湿剤としてはワセリンを使います。ワセリンが皮膚をコーティングし、皮膚の乾燥を防ぎます。

毎日風呂に入って、体を石鹸でごしごし洗い、入浴後に保湿クリームをつけることはすべて皮膚を乾燥させる行為なのです

逗子在住山内明徳様撮影

0件のコメント

最新記事

すべて表示

高齢者救急の難しさ: 非典型症状への対応 #高齢者 #救急

高齢者救急が難しいのは、高齢者は症状が非典型的であったり、認知症があるとうまく症状を訴えられないなどの点にあります。 例えば、高齢者の肺炎では約1/3で咳や発熱がなかったりします。咳や熱がないからと言って、肺炎は否定できないのです。...

Comments


© 2021 湘南在宅研究所 All Rights Reserved.

情報通信機器を用いた診療の初診において向精神薬を処方しておりません

bottom of page