在宅診療においてせん妄の治療への習熟は,認知症患者さんを自宅で診れるか否かの重要な要素でもあります。そうした中でお勧めの良書、というかこれを頼りにせん妄に対する治療行っています『せん妄診療実践マニュアル 井上真一郎 羊土社』。本の帯には、「日本をリードする岡山大学病院精神科リエゾンチームの診療ノウハウを余すことなく一挙公開!!」とあります。
一読すると、内容は至極真っ当で、良書です。
せん妄には、直接因子(引き金になる)、準備因子(起こりやすい素因)、促進因子(促進・遷延化させる)の3つの因子があり、せん妄治療は、直接因子と促進因子を取り除くことから始めると書かれています。
つまりせん妄対策は引き算が大原則であり、薬物治療は対症療法に過ぎないのです。このことは本書では特に強調されています。
とは言っても、最終的には薬物も使わなければなりませんが、薬の使い方に関しても具体的に書かれていて分かりやすいです。
当院でよく処方している、トラゾドン、クエチアピンは本書でも推奨されています。
高齢者というだけでせん妄のリスク因子です。高齢化社会を迎えている日本では、せん妄は、医療従事者にとって避けては通れません。
その意味で、医療従事者すべてに勧められる本です
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