top of page

高齢者が食べれなくなったら

老衰の末期や末期がんなどで食べられなくなった患者さんを自宅で診ている場合に食べれなくなったら何もしないという選択があります。但し、こうした選択が中々踏み切れない場合があります。やはり何もしないという選択は心情的に選択しにくいものです。そうした場合、皮下点滴が有用です。皮下点滴のメリットとして、高齢になると末梢血管が見えづらかったり、すぐに漏れてしまったりします。また、在宅では、医療者が常に見ているわけにはいきませんし、せん妄などで抜去されても出血しないので安全です。つまり家族であっても説明を受けさえすれば簡単に管理できます。 さらに血管内に無理やり入れるわけではなく、皮下に入れて吸収されるのを待つ形なので、より自然ですし、過剰輸液の心配がありません。高齢者の静脈から強制的な輸液は心不全は肺などに水の溜まる原因となりやすいものです。皮下からの点滴は必要分だけ吸収され、必要ない分は吸収されないことも大きなメリットです。デメリットとしては、急速に入れると痛みが出ることくらいです(急速に入れないようにすればよいだけです)。何より皮下からの点滴にて元気になり、またご飯を食べれるようになることが稀ならず経験されます。 注意点としては

・点滴の種類は気にしなくて大丈夫です。抗生剤も投与できます。 ・慣れてくれば、点滴とラインを渡し、ご家族だけで毎日点滴することもできます。 ・サーフロー針の差し替えは1週間に1回で大丈夫です。左右を変えて差し替えます。 ・点滴の速度は腫れ具合によって変わるのであまり神経質になる必要はありませんが、500mlを5~10時間で入れることを目安にします。 ・点滴が落ちなくなった場合には、腫れた皮下組織をマッサージすると落ちるようになることもあります。 ・高齢者の場合、維持液500~700ml/日で必要十分の水電解質が補充されると言われているので、当院では維持液500ml/日とすることが多いです。 ・皮下点滴を連日続けていると、食欲が回復し、食べられるようになって皮下点滴が不要になるといったこともよく経験します。

写真は逗子在住山内明徳様撮影

最新記事

すべて表示

認知症のBPSDに対する薬物療法の実践~認知症の行動・心理症状に対する薬物療法

施設入居時などに、環境が変わったことが契機となり、認知症の行動・心理症状(BPSD)がひどくなり、昼夜問わず暴れて手がつけられなくなる方がいます。当院では、施設の窓から飛び出してしまった方、介護者の首を絞めた方、ドアを蹴ったり椅子を投げたりした方を経験しています。...

抗血小板剤の効果と副作用を徹底解説!プレタール®の魅力とは? #プレタール #薬剤

プレタールという薬は本邦から開発された抗血小板剤であり、この薬の第三相試験(その薬が本当に効果あるか、悪いことが起きないか実際の臨床で使用する試験です)において私もデータ処理などで関わった経験あり思い入れある薬です。その効果は、シロスタゾール(プレタール®)は抗血小板薬で、...

Comments


bottom of page