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頭痛を科学する15~片頭痛は脳梗塞のリスクになるの?

8月8日
読了時間: 4分

片頭痛は脳梗塞のリスクになるの?

「片頭痛があると脳梗塞になりやすい」——そんな話が広まり、なかには生命保険の加入を断られたという方までいます。頭痛持ちの方にとっては、とても気になる話題ですよね。この記事では、本当のところどうなのかを、統計データをかみくだいてご説明します。結論からいえば「怖がりすぎず、でもタバコとピルには気をつけて」です。

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まず「片頭痛性脳梗塞」という診断はごくまれ

むかしは片頭痛を「血管が縮んで→広がって起こる(血管説)」と考えていたため、片頭痛の方に脳梗塞が起こると、なんとなく「片頭痛のせい」とされがちでした。ですが片頭痛も脳梗塞もありふれた病気。たまたま重なることも十分にあり得ます。

そこで2018年の国際的な頭痛分類(ICHD-3)では、「片頭痛性脳梗塞」と呼べるのは前兆(アウラ)のある典型的な片頭痛の発作中に脳梗塞が起きた、ごく限られたケースだけと、きびしく定義し直されました。頭痛のあいだに脳梗塞が見つかっても、それだけで「片頭痛性」とは診断しません。

2大規模研究では「リスクは約2倍」
2大規模研究では「リスクは約2倍」

片頭痛と脳卒中の関係については、たくさんの研究をまとめた有名な解析(メタアナリシス)があります。できるだけ偏りを除いて再解析した結果を、下の表にまとめました。ポイントは3つです。

① 前兆のある片頭痛では、脳梗塞のリスクが対照群のおよそ2倍。② 前兆のない片頭痛・男性・45歳以上の女性では、はっきりした差は認められませんでした。③ 一方で 45歳未満・喫煙・ピル服用が重なると、リスクは大きく跳ね上がります。

片頭痛のタイプと条件

研究数

相対リスク(RR)

95%信頼区間

すべての片頭痛タイプと虚血性脳卒中

すべての片頭痛(全研究)

9

 

1.73

1.31〜2.29

症例対照研究

6

 

1.96

1.39〜2.76

女性

4

 

2.08

1.13〜3.84

男性

3

 

1.37

0.89〜2.11

45歳未満女性

3

 

3.65

2.21〜6.04

45歳以上女性

1

 

1.22

0.88〜1.68

ピル服用中の女性

3

 

7.02

1.51〜32.68

喫煙者

3

 

9.03

4.22〜19.34

前兆のある片頭痛と虚血性脳卒中

前兆のある片頭痛

8

 

2.16

1.53〜3.03

ピル服用中 かつ 喫煙

1

 

10.0

1.4〜73.7

前兆のない片頭痛

8

 

1.23

0.90〜1.69

※ 太字=特に重要な項目/イタリック=統計的にはっきりした差が出なかった項目。信頼区間が「1.0」をまたぐものは、差が確実とはいえません。(複数の疫学研究をまとめたデータをもとに作成)

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いちばん大事な「統計のマジック」

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では、何に気をつければいい?

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片頭痛に「似た」まれな病気もあります

片頭痛のような頭痛や前兆をくり返し、脳卒中を合併することで知られる、遺伝性・体質性のまれな病気もあります。何度も繰り返す・家族歴がある・若くして脳梗塞を起こす、といった場合は、こうした病気が隠れていないか調べることがあります。

CADASIL

脳の細い動脈が障害される遺伝性の病気

片頭痛様の前兆や頭痛をくり返し、若い頃から皮質下の小さな脳梗塞や白質病変を起こします。家族歴が手がかりになります。

MELAS

ミトコンドリアの働きの障害による病気

片頭痛様の頭痛と、脳卒中のような発作(stroke-like episode)を合併することで有名。若年発症や他の全身症状を伴うことがあります。

🚨 こんな頭痛は「すぐ受診」を

突然の激しい頭痛(バットで殴られたような痛み)、手足の麻痺・ろれつが回らない・片側が見えにくいといった症状を伴う頭痛、いつもと明らかに違う頭痛は、脳卒中など危険な病気のサインかもしれません。ためらわず救急へ。

この記事のまとめ

  • 「片頭痛性脳梗塞」と診断されるのは、前兆のある発作中に起きたごくまれなケースだけ

  • 前兆のある片頭痛では脳梗塞リスクが約2倍だが、元の発症数はごくわずか(統計のマジックに注意)

  • 本当に効いてくるのは禁煙・ピルの相談・血管リスクの管理

  • くり返す・家族歴・若年発症ならCADASILやMELASなど別の病気も検討

  • いつもと違う頭痛、麻痺やしびれを伴う頭痛は、すぐ受診を

# タグ片頭痛脳梗塞脳卒中リスク前兆・アウラ片頭痛性脳梗塞ICHD-3禁煙経口避妊薬(ピル)相対リスクCADASILMELAS頭痛外来

さくら在宅クリニック|神奈川県逗子市(逗子・葉山エリア) TEL 046-874-9475


※この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。診断や治療は個別の状況により異なります。気になる症状があるときは、かかりつけ医にご相談ください。


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