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認知症は治せるか~認知症治療の羅針盤9~意味型進行性失語症(svPPA) の典型例から学ぶ症候・診断

  • 5月4日
  • 読了時間: 2分

意味型進行性失語症(svPPA)の典型例から学ぶ症候・診断

意味型進行性失語症(semantic variant primary progressive aphasia: svPPA)は、意味性認知症(SD)とほぼ同義であり、物品呼称と単語理解の障害を中核症候とするPPAの1型である。エピソード記憶が障害されるADに対し、意味記憶の障害が主体となるのが本疾患の特徴であり、語義失語・表層性失読/失書を呈し、左前部側頭葉の限局性萎縮・血流低下を認める。

現病歴
現病歴

70歳代前半の右利き男性。14年前に腎癌手術後より、同じことを何度も言う、親しい人に何度も名刺を渡すなどの行動変化がみられていたが、70歳代前半まで運送会社を経営。2〜3年前から話し方が不自然に丁寧になり(「〜でございますね」)、会話中何度も聞き返すようになった。1年前から友人の名前が出てこなくなり、薬の内服管理ができない・電話したことを忘れる・会社の決算書を関係ない人に見せるなどの症状も出現。

初診時現症(MMSE 25/30点)

礼節は(過度に)保たれ、丁寧語が多い。表情豊かで多弁傾向。質問の直接の答えにならない話を途中で制止しないかぎり話し続ける。病識はなくもういいですかといって途中で帰ろうとする。診察中、質問の答えを妻に尋ねる。MMSE失点:日にちで1点・計算で2点・三単語遅延再生で2点。神経学的に特記事項なし。

svPPAの診断基準(Gorno-Tempini ら 2011)
svPPAの診断基準(Gorno-Tempini ら 2011)

中核症状は①物品呼称の障害と②単語理解の障害の両方。かつ以下のうち少なくとも3つを満たすこと:低頻度・低親密度語の成績が不良、表層性失読または失書、復唱良好、発話産生(文法・発語)良好。画像上①前部側頭葉(ATL)の萎縮かつ/またはATLの血流・代謝異常がSPECTやPETで確認できることが条件。確定診断には病理所見が必要で、FTLD-tau、FTLD-TDP、ADなど特定の神経変性疾患病理の確認が必要。

表層性失読・失書とは

表層性失読・失書は類音的錯読・錯書と同様の状態を指す。強い意味理解障害と良好な音韻操作能力により、一般的な規則に過度に頼ることにより生じる。日本語では漢字の読み書きに顕著に表れ、仮名は保たれる。「三味線→さんみせん」「海老→かいろう」などの熟字訓の読みに現れやすく、結果として音読み傾向が強くなる。

背景病理 — TDP-Cが圧倒的に多い

近年の研究では、svPPAの背景病理はFTLDのうちTDP-Cが圧倒的に多く、TDP-A、Bに比べて均一な臨床像を呈することが知られている。本例は初期からbvFTDらしさを呈していることから、TDP-A、BやFTLD-tauの可能性もある。svPPAは他のPPAに比べ臨床像も背景病理も比較的均一であることから、病巣の進展予測や治療に関する研究も進められている。


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