top of page

褥瘡は、この世から無くなるのか?

褥瘡は、ただの皮膚の傷ではありません。哺乳類が陸上に上がれたのは皮膚のおかげであり、母なる海を体内に止めおく重要なバリアーの破綻が褥瘡です。当然、このバリアーの破綻は感染の原因となります。そして体圧管理、湿潤療法など行っても残念ながら褥瘡が良くならない方もいます。これは、全身状態や栄養状態、血糖コントロールが悪かったり、血流障害があったりするために、褥創の治りが遅くなるというのが大きな要因だと思います。

介護者(家族や介護職員)・医療者などの中には、褥瘡はあってはならないと考える方がいて、褥瘡ができるとことさら騒ぎ立てる方がいます。そもそも褥瘡がどうしてできるのか考えてみると、食事が摂れなくなって栄養状態が悪くなり、寝たきりで動けなくなり一か所に圧力がかかることで起こるのです。

これは、つまり老衰の過程なのです。人は老衰に逆らうことはできません。いろいろな対策をしても治らない場合、「褥瘡とともに生きる」という選択もあると思います。

肺炎で亡くなるのは受け入れられるが、褥瘡が感染して亡くなるのはいけないというのはおかしいのです。褥瘡を含めて、トータルで高齢者をみなければいけません。在宅医療で可能なことは行うが、人智の及ばない褥瘡もあることを認識することも重要なことと考えます。

写真は逗子在住山内明徳様撮影

最新記事

すべて表示

在宅医療における糖尿病治療の問題点

糖尿病は放置すると様々な病気を引き越します。透析へ移行する慢性腎不全の一番の原因は糖尿病性腎症です。また心筋梗塞や脳梗塞などの血管障害の原因ともなる病気です。また高齢者では軽症の糖尿病においても感染などを契機に糖尿病性のケトアシドーシスが起こり、大変重症な病態となることがあ...

Comentarios


bottom of page