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看護師さんによる在宅医療におけるエコーを科学する44~エコーで見るリンパ浮腫④ ― 評価と判断の手技

  • 執筆者の写真: 賢一 内田
    賢一 内田
  • 10月14日
  • 読了時間: 3分

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エコーはリンパ浮腫の病期判定・浮腫範囲の把握・経時的変化の追跡において、非常に有用なツールです。ここでは、臨床での観察手技と経時的評価のポイントをまとめます。

🔍 内部性状の違いによる評価

リンパ浮腫では、患肢全体の皮下組織の状態を把握することが第一歩です。観察範囲は次の通りです。

  • 上肢リンパ浮腫:手関節(尺骨側)から上腕まで

  • 下肢リンパ浮腫:足関節(外果)から大腿まで

🔸 撮影のコツ

  • エコー装置の「動画機能」や「パノラマ撮影」を活用すると、患肢全体の連続像を得られます。

  • プローブと皮膚の両方にゲルを十分塗布し、皮膚上を滑らせながら移動するのがポイントです。

  • プローブは**身体の長軸方向(縦向き)**に当てます。

💡 コツ: 浮腫の程度は長軸方向に変化するため、縦方向の走査がより正確な観察につながります。

🧭 部位による内部性状の違い

下肢リンパ浮腫の例を見ると、患肢全体で皮下組織が厚く、部位によって内部性状(エコー輝度・構造)が異なることが分かります。これは、同じ患肢でも部位ごとに病期が異なる可能性を示しています。

このような場合は、

  • 医師・患者と情報を共有

  • 圧迫圧の調整(局所的にパッドを追加)

  • リンパドレナージの重点変更など、部位別に対応を検討することが重要です。

📈 経時的評価 ― セルフケアと治療効果の確認

リンパ浮腫の管理では、**時間を追った変化の評価(経時的評価)**が欠かせません。そのためには、同じ条件での再現性ある観察が必要です。

観察条件を統一するポイント

  • a:患者の体位

  • b:観察部位この2つを毎回同一に保ちます。観察部位にはマーカーで点をつけ、プローブ中央をマーキングに合わせて走査します。

✋ 上肢リンパ浮腫の観察方法

  • 体位:座位でテーブルに上肢を乗せるか、仰臥位で上肢を伸展

  • 観察部位:肘窩を中心に

    • 10cm近位(上腕部)

    • 10cm遠位(前腕部)の2点を観察します。

🦵 下肢リンパ浮腫の観察方法

  • 体位:仰臥位で脚を伸展、または膝を軽く曲げる姿勢

  • 観察部位:両側の

    • 大腿(膝より15cm近位)

    • 下腿(膝より15cm遠位)の計4点を観察します。

💡 両下肢に浮腫がある場合は左右差を比較することで、病期の進行や圧迫療法の効果をより的確に判断できます。

🧠 エコーによるケア効果の“見える化”

経時的にエコー観察を行うことで、以下のような効果が得られます。

状況

対応・フィードバック

浮腫が軽減

セルフケアが有効であることを患者に伝え、モチベーション維持へ。

浮腫が悪化

圧迫圧・着圧サイズ・リンパドレナージ方法を再検討。生活習慣を再確認。

この**「見えるケア」**こそ、患者参加型のリンパ浮腫管理の鍵です。

🩶まとめ

エコーを用いたリンパ浮腫評価は、

  • 病期・浮腫範囲の明確化

  • 部位ごとの管理方針決定

  • ケア効果のフィードバックを可能にする、科学的かつ実践的なアプローチです。

同一条件での経時的観察を続けることで、治療・セルフケア・生活指導が一体となった包括的管理が実現します。

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