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高齢者の不定愁訴と漢方薬~多愁訴に半夏厚朴湯が著効した症例

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)はいわゆる「ヒステリー球」という、喉に何かが詰まったような違和感に効くとされている漢方薬です。

当院の患者さんで、半夏厚朴湯がよく効いた患者さんがいたので報告します。

症例:90代女性

診察の度に、「喉が詰まる」「トカトカする」「夜中に起きてしまって眠れない」「トイレが近い」「胸がつかえる」「セーターの裏に虫がいる」「踵が痛い」などのさまざまな訴えがありました。

これらの症状に対しては西洋薬で対応していましたが、それほど効果は実感できませんでした。とある診察時に思い立ち、半夏厚朴湯を処方してみました。すると、2週間後の診察では、上述したさまざまな訴えが全体的に減りました。

この方は、もともとたまに胸痛があり、その都度ニトロールを使用していました。ニトロールの代わりに偽薬を使っても効果があるという、心理的要因が強いと思われていた方でした。半夏厚朴湯を処方してからは、胸痛もなくなり、ニトロールもほとんど使わなくなりました。

本症例のように、咽喉部の違和感に加えて、胸痛などの狭心症様症状、動悸、頻尿などに心理的要因が関与していると思われる場合は、半夏厚朴湯を試してみると良いかもしれません。甘草が含まれていないこともあり、副作用はそれほど気にしないで処方できます。

また、半夏厚朴湯には誤嚥性肺炎の予防効果もあると言われているので、高齢者にはそれを狙って処方もできます。

You Tubeにて在宅診療の知識を学んでみませんか?☟より

#在宅医療

#在宅医療における漢方

#高齢者の不定愁訴

#逗子、葉山、横須賀、鎌倉在宅医療

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