在宅酸素療法を科学する35~栄養療法慢性呼吸不全・COPDにおける栄養障害の評価と実践的栄養管理
- 6月9日
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慢性呼吸不全においては、栄養障害の合併が病態や予後に悪影響を及ぼすとされている。COPDは全身性疾患であり、栄養障害には全身性炎症・換気メカニクスの障害・摂食調節因子の異常など多くの要因が複合的に関与している。本記事では栄養障害の特徴から評価・実践的な栄養療法まで体系的に解説する。
栄養障害の特徴と問題点
① タンパクエネルギー低栄養状態(PEM)
慢性呼吸不全患者の栄養障害の特徴はタンパクエネルギー低栄養状態(PEM)である。しばしば体重減少が認められ、以下の変化を呈する。

気流制限や肺過膨張により呼吸筋のエネルギー消費量が増えるため、COPD患者では安静時エネルギー消費量(REE)が同年代の健常者の1.2〜1.4倍に増大しており、体重減少患者では体重正常患者よりも有意な増大が認められている。また全身性炎症に伴うTNF-αなどの炎症性サイトカインが体重減少のあるCOPD患者で増加しているとされる。
③ 摂取エネルギー量の低下
COPD患者が身体活動を維持するために必要なエネルギーを食事で摂取することが困難な場合が多い。その理由:



血清アルブミンは半減期が21日前後と長いため、やせ型のCOPDであっても安定期であれば正常範囲であることは少なくない。栄養介入の効果を早期に評価したい場合は半減期の短い指標を選ぶ。

栄養療法の計画と実践
栄養療法の適応





食中の症状別対応
症状 | 対応・工夫 |
食欲不振 | エネルギーの高い食事から食べる。好きな食物を取り入れる。食事回数を増やす。食べられる量を一皿に盛りわける。栄養補助食品の利用 |
すぐに満腹 | エネルギーの高い食事から食べる。食事中の水分摂取を控え炭酸飲料は避ける。冷たい食事のほうが満腹感が少ない |
息切れ | 食事前に十分な休息をとりゆっくりと食べる。気管支拡張薬の使用・食前の排痰。咀嚼中の口すぼめ呼吸・食事中の姿勢・軽い食器の利用。食事中の酸素吸入量の検討 |
疲労感 | 食事前の十分な休息。食事の準備に手間をかけない。食事中の動作の単純化。疲労感の少ない時間帯にできるだけ食べる |
満腹感 | 息切れを緩和して空気の嚥下を避ける。少量ずつ回数を増やす。急いで食べない。ガスを産生する食物・食材を避ける |
便秘 | 適度な運動と繊維質の多い食事 |
歯周病 | 適切な歯科の治療・口腔ケア |
食事の工夫8ポイント



体重(BMI kg/m²) | 進行する体重減少 | 治療戦略 |
BMI < 19 | 有 | 強化栄養療法(経口・経腸)。補助栄養食品の利用を考慮。運動療法(低負荷) |
無 | 栄養指導(体重維持を目標)。運動療法(高負荷も可能) | |
19 ≤ BMI < 22 | 有 | 栄養指導(体重増加を目標)。運動療法(低負荷) |
無 | 栄養指導(体重維持を目標)。運動療法(高負荷も可能) | |
22 ≤ BMI | 有 | 栄養指導(標準体重を目標)。運動療法 |
無 | 運動療法 |
体重減少あり:6ヶ月に体重の10%、1ヶ月に体重の5%
経腸栄養剤の併用






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