在宅医療を科学する36~浮腫を伴う高齢女性の関節痛 ― RS3PEか?PMRか? ―
- 3月3日
- 読了時間: 2分

高齢女性が「急に手足が腫れて痛い」と訴えるケース。
在宅医療や地域医療の現場では、決して珍しくありません。
しかしこの症状、単なる関節痛ではない可能性があります。
■ 症例の経過
NSAIDsを処方し採血を施行。
CRP:11.3 mg/dL
NT-proBNP:565 pg/mL
RF:陰性
抗CCP抗体:陰性
炎症反応は高値。リウマチ関連抗体は陰性。
そこで
プレドニン 2mg(少量ステロイド)
アゾセミド 30mg(利尿剤)
を開始。
すると症状は劇的に改善しました。
■ 考えられる診断
① RS3PE
(Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema)
高齢発症
対称性滑膜炎
圧痕性浮腫
RF陰性
少量ステロイドが著効
まさに典型的な所見です。
② PMR
(リウマチ性多発筋痛症)
高齢発症
肩・骨盤帯の疼痛
高CRP
ステロイド著効
こちらも鑑別に挙がります。
■ RS3PEとPMRの違い
| RS3PE | PMR |
主症状 | 末梢関節+浮腫 | 肩・股関節帯痛 |
浮腫 | 明らか | 通常目立たない |
抗体 | RF陰性 | 通常陰性 |
悪性腫瘍関連 | やや高い | 一部関連 |
RS3PEでは手背・足背の強い浮腫が特徴的です。
■ 心不全との鑑別も重要
今回NT-proBNPは565。
心不全による浮腫とのオーバーラップもあり得ます。
在宅医療では
炎症による浮腫
心不全による浮腫
低栄養による浮腫
が混在していることも珍しくありません。
利尿剤が奏効した点も臨床的に興味深いところです。
■ 在宅医療でのポイント
✔ 高齢者の「急な関節痛+浮腫」は要注意✔ RF陰性だからといって安心しない✔ 少量ステロイドへの反応は診断的価値が高い✔ 悪性腫瘍検索も視野に
■ まとめ
高齢女性の浮腫を伴う関節痛。
それはRS3PEかもしれない。あるいはPMRかもしれない。
しかし重要なのは、
「歳のせい」で片付けないこと。
適切に診断すれば、少量ステロイドで劇的に改善する疾患です。
在宅医療の現場だからこそ、見逃してはいけない疾患の一つです。
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